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もともと自分なんて、まったく実力のない選手でしたから
――頭の中の大半は、サッカーのこと?
「サッカー……いや、何も考えてないですけど、向上心はあると思います。まあ、自分のことしか考えてないですね(笑)」
――「自分のことしか考えていない」と聞いたばかりですが、あえて聞きます。今年1月のアジアカップには同級生の堂安律選手(フローニンゲン)、冨安健洋選手(シント=トロイデンVV)が出場しました。日本代表として戦う同級生を見て、メラメラと燃えるものがありました? 俺も負けてないぞと。
「いや、何も思わないですよ。だって、もともと自分なんて、まったく実力のない選手でしたから」
――彼らふたりは、ガンバ大阪、アビスパ福岡というJクラブのアカデミー出身で、いわばエリートでした。
「逆に僕は、追い越す側の人間なので。これまでも自分の前にはいつも人がいて、それをどんどん追い越してきた。だから今、自分の前に人がいても、なんとも思わない。マラソンにたとえるなら、周りは気にせず、自分のペースで走り続けてベストを尽くせば、自然と追い抜いていける、そんな感じですね」
――なるほど。安部選手自身は何も思っていないんでしょうけれど、高校時代までほとんど無名だったのに、鹿島から声が掛かり、今ではU-19代表でも鹿島でも10番を背負うまでになった。傍から見ていると、痛快です。
「それ、よく言われます。僕のように小学生時代、中学生時代に大して力のない子って、たくさんいると思うんですよ。僕が活躍することで、そういう子に良い影響を与えられたらいいですね。自分自身で考えてベストを尽くせば、必ずうまくなれるって」