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2019/03/11

genre : ニュース, , 社会

「全区間で4時間半」なのに速達列車がない理由

 新たに再開する山田線区間の宮古~釜石も、特に著名な観光地があるわけでもなくて地域の人たちが主な利用者だった。再開後も、そうした町の人々がリアス線のお客となる。

「山田線区間は、正直ウチの路線よりも乗っていたくらい。大槌町に山田町と、それなりの規模の町がありましたからね。リアス線が開業すれば、そうしたお客さんが戻ってきてくれる。そしてバスを使っていた学生さんたちも乗ってくれるでしょう。そう期待しているんです」(冨手さん)

 すでに発表されているリアス線のダイヤでは、全線を通して盛~久慈を結ぶ列車も走る。さらに特徴的なのは全区間で4時間半という路線なのに快速や急行などの速達列車がないこと。気動車の加減速性能が向上したので各駅に停車しても所要時間があまり変わらないという事情もあるが、快速が通過してしまう駅では列車間隔が大きく開いてしまうことへの懸念があるという。地域の鉄道だから、すべての駅で町の人を乗せて走る――。それが三陸鉄道リアス線なのである。

再建された織笠駅。津波で消失したため、高台に移転した
3月23日に盛~久慈まで163.0kmが開通する

 地域の活気のために。観光の賑わいをもっと取り戻すために。そうした思いを乗せて、三陸鉄道リアス線は走り出す。もちろん、開業しただけでバラ色の未来が待っているほど甘くはない。沿線人口の減少は重くのしかかるし、いっときはブームになってもそれがずっと続くとは限らない。冨手さんは言う。

「これからどうやってお客さんを確保していくかという課題は間違いなく出てきます。でも、地元のみなさんや、いろんな方から期待されているリアス線ですから、大変だと思いますけど頑張ってやっていきますよ」

 3月23日、9度目の春に走り出す三陸鉄道リアス線。160km4時間半の長旅を楽しんでみてはいかが。

 

写真=鼠入昌史

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