『ゼロから“イチ"を生み出せる! がんばらない働き方』(ピョートル・フェリクス・グジバチ 著)

 昨今の「働き方改革」で残業や休日出勤が減った企業も多いとはいえ、長年、日本の労働生産性は先進7カ国の中で最下位。本書の著者のピョートルさんは、その原因は、日本人が多くの局面で「がんばって」しまうことにある、と言う。

「『がんばります』という言葉は、僕にとってポジティブな印象ではありません。どんなプロセスでやれば成果が上がるか、という話をしたい時に、『がんばります』と言う人は、努力や忍耐でしのごうとするように聞こえるからです」

 ピョートルさんは、まず日本人に「がんばらないでください」と伝えたいという。では「がんばらずに」仕事の成果を上げるにはどうすればいいか。それを可能にするのが、“10x”(テンエックス)だ。

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「グーグルではスタンダードな哲学で、今の10倍の成果を出す、という意味です」

 1割、2割ではなくいきなり10倍の成果を出すなど、一見不可能に思える。しかしピョートルさんによれば、「ムダを捨て」て、「インパクトが大きい(時間あたりの価値が大きい)仕事をする」ことでそれは可能になるという。本書はその具体的な指南書なのだが、「to doリスト」はインパクトも学びも少ない作業をこなすだけになるので危険、会議後の書類は作成しない、プレゼンは他の人の自由な発想を妨げる、いっそのことメールを捨てる、などといったことが書かれており、昔ながらの職場で働いている人たちからすれば、目から鱗の話が満載だ。

「まず自分にとって必要ない作業を捨てるのは当然。その次に、作業は他の得意な人にやってもらうことを考えて、できれば自分のチームを作った方がいいです」

 とはいえ、古い体質の企業にいる人は、こう考えてしまいがちだ。「うちの上司はそんなこと許してくれない」「うちの会社ではそれが決まりだから」と。