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周りにうさんくさいヤツしかいない

佐々木 かつては、テレビや新聞を見て情報を得る、というのが全員同じだったんですよね。流れている情報は、標準的というか平均的だから、そんなに情報格差はなかったんですよ。ただ近年は情報格差がかなり広がっていて、SNSで誰とつながっているかとか、現実でどういう人と付き合っているかによって、その人が持つ情報や流れてくる情報って全然変わってきますよね。

吉川 選択肢が増えて、かえって情報が偏ってしまうこともありますね。

佐々木 新聞記者をやっていて思いましたけど、詐欺事件の被害者に話を聞きにいったりすると、僕らが生きている世界とはまったく違う世界で生きてると痛感させられます。一言で言うと、周りにうさんくさいヤツしかいない。

吉川 あぁ、それはよく分かります。

 

佐々木 お互いに騙し騙されるみたいな世界に生きているんですよね。いわゆる善人とか、良識的な人も周囲にいないわけです。怪しい情報商材を売りつけている人しか友人にいない。そして、騙す人ってそういう相手を見分けるのがうまいから……。

破産した人リストが出回る

吉川 以前、司法書士事務所に勤めていたことがあって、債務整理を専門にやってたんです。そこで見てきた依頼者は、借金に苦しんで、多重債務で、投資で大金を溶かして、とにかくどうしようもないんですよ。闇金からも、お金を本当にあっさり借りちゃうんです。普通、知らない携帯番号から急に電話がかかってきて「お金困ってないですか? お金貸しますよ」なんて言われたらおかしいと思うじゃないですか。

佐々木 あれって突然電話がかかってくる? 裏でそういうリストがあるんですか?

吉川 そう、リストがあるんですよ。破産すると官報に名前が載るんですけど、それを見てターゲットにするとか、色々ルートはあるんですけど、とにかく破産した人リストみたいなものが出回っていて。破産をするとしばらくは、まともな会社からはお金を貸してもらえなくて、そして、そういう人って助けてくれる人が周りにいないんですよね。

 

佐々木 破産したりすると、その瞬間に社会資本だとか人間関係とかが全部壊れて、友人なんかもみんな逃げちゃうんだよね。

吉川 そうなんです。だから怪しくても「あ、助けてくれる人が現れた」って借りちゃうんです。「審査をするので免許証の写メと、家族の名前、勤務先、通っている学校、親戚の電話番号とか教えてください」って言われても、やすやすと個人情報を渡しちゃう。闇金だから返済しても返済しても利息が膨らんで、返せなくなるんです。そうすると嫌がらせが始まって、家の周りに消防車をたくさん呼ばれたり、子供の学校にいたずら電話がいっぱいかかっちゃったり。最初は「そうなるの分からなかったのかな?」って思ったんですけど、本人はいっぱいいっぱいで、明日どうやって食べていこうかっていうレベルだから、つい手を出しちゃうんですよね。とにかく正常な状態ではないんです。