会社で働くこと自体に大きな夢を抱けず
若い人たちを見ていて、最近特に感じるのは「したくて入った会社なのかな」とか「この仕事が好きになってくれるのかな」という点です。私などは、すでに証券投資に手を出し、大学の自治会をやっていた変な新入社員でしたから、世間ずれをしすぎていた分、会社で働くこと自体にあまり大きな希望や夢を抱けずに入社しました。
目の前のカネが欲しくて、でも世間体もあり、私の当時は内定を取りいい会社に潜り込んでなるだけ長く勤め上げるのが職業人の道だと教えられましたし、私もそう思っていました。20代のころは修業期間と弁えていろんなものを吸収して良い職業人になりなさい、と親も大学も先輩も証券会社で当時ご担当だった証券営業マンも言っていたので、きっとそれが常識なのだろうと思い込んで、よせばいいのに就職してしまったわけです。その結果が、私にとっては勤め人が半年ぐらいしか続けられなかったのは痛恨です。もっと、いろんなことを経験し、我慢しても良かったかもしれない。入社した会社にとっても私にとっても時間を無駄にしたなあという思いもなきにしもあらずです。
しかし、いまは時代が違います。転職が当たり前になり、数年も勤めないで新しい環境に飛び込んでいく人もいれば、立派にプロパーとして長く頑張る人も出ます。いろんな選択肢があっていいのです。会社だって、本当に何年続くか分からないし、会社に骨を埋める必要もない。そして、判断のきっかけには報酬(ギャラ)の問題が重要だという人もいれば、働きやすい環境を求める人、華やかな職種や堅実な仕事がいいという人が、思い思いの働き方が実現できる社会に向かっていっているように思います。
職業人として正しい努力とは何か
そして、職業人として一番重要なことは「それはやり遂げたい仕事なのか」です。何をして、感謝されたい人になりたいと考えているのか。最初は漠然としているかもしれないけれど、働く中で様々な経験をして、自分の中で自分とは何をする人なのかを踏み固めていくことが大事だと感じるのです。
おカネをもらって働くからには、気乗りしないときでもスランプでも一定の成果を出し続けられることで、はじめてプロと呼ばれます。ヤバイ、これは自分にとって得意なテーマではないぞ、面倒くさい気持ちが湧き起こる前に伝えたいことを書ききってしまわなければ。モチベーションを自分で管理し、コツコツと頑張ってやっていける、誰かに指示されずとも必要なことは知ろうとし、インプットとアウトプットを大きくしながら物事に取り組み続けて行けるのかが、どのような職業人であれ求められる資質になってきます。正しい努力とは何かを考え、アンテナを高くして、きちんとした報酬を貰い、家族を養い人生を充実させることが求められるのは、新入社員ならずとも働く人すべてに問われる事象であると思います。
でも、気が乗らないと続けられない人がいます。私みたいに。ああ、組織向いてねえ。人に使われるのはゴメンだが、人を使うのも面倒くせえ。仕事なんか良いからいつまでも野球を観てゲームをしていたい。上で幹部同士が揉めてるとクソを投げ込みたくなりますし、理不尽な要求をしてくる上司や取引先がいたらうまくサボタージュすることしか考えません。外資系大手のGoogleが採用するときに最も重視するのは「その人と働いていて気持ちよいかどうか」だそうですが、そんなのやりたくない仕事が出てきたときや、どうしようもない関係先から変な仕事を押し付けられたらぶん投げたくなるに決まってるじゃないですか。