2019年4月1日、菅官房長官により発表された新元号「令和」。日本の改元は中華圏での関心も高く、発表直後に私のスマホには日本のメディアに先駆けて『網易』『新浪』といった中国のネットポータルサイトや台湾の『聯合報』、香港の『蘋果日報』といったメディアの速報通知がどんどん飛び込んできた。
そもそも中国は元号発祥の国であり、1911年の辛亥革命まで元号が使われてきたので(翌年を元年とした中華民国独自の民国紀元も、台湾ではいまでも現役だ)、元号への関心はひときわ高いのだ。ちなみに元号は、現代中国語では「年号」と書かれることが多い。
「『脱中国化』のメッセージを持っているのか?」がポイント
「令和」の出典は『万葉集』巻五「梅花の歌三十二首并せて序」にある「于時初春令月 気淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香」という一節で、国書から元号が採用されるのは初とされている(ただし上記の文言は、中国古典である『文選』巻十五に収録された張衡「帰田賦」に酷似した字句があり、その影響を受けたものだった可能性が高い)。
ゆえに今回、特に中国のメディアで注目されたのが、令和の元号が「脱中国化」のメッセージを持っているか否かという話題だった。人民日報傘下の大手紙『環球時報』が、元号の発表直後に「脱中国化」をいったん報じてから、『万葉集』の詩歌にも中国古典の影響が見られることや、令和の典拠が『万葉集』内の漢文で書かれた個所だったことを指摘して「中国の痕跡を消し去ることはできなかった」と見出しを修正して記事を差し替えたのが代表的だ。
ほかにも、中国の大手メディアが4月1日にウェブ配信した、元号関連報道の見出しを見てみよう。