この数カ月、Twitter上で、フェミニストを自称する女性たちによるトランスジェンダー女性(男性として生まれ、女性として社会生活を送っている人。以下、トランス女性と略称)への排除的・差別的な書き込み(ツイート)が大量になされています。ご存じない方は、試しに「トランス 差別」というキーワードで検索をかけてみてください。膨大な数のトランス女性排除派のツイート(もちろん反排除派のツイートも)が出てきて驚かれるでしょう。

 トランス女性が何か大きなトラブルを起こしたというのなら、批判的な意見が集中するのもわからなくもありません。しかし、そういうきっかけになる事件は起こっていません。

 なぜ、今、日本で、トランス女性たちが攻撃されるのでしょうか?

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 これは、私たちの安全にとって見過ごすことができない事態です。なぜなら、私は生まれた時の性別は男性ですが、現在は女性として社会生活(仕事と日常)をしているトランス女性だからです。身に降りかかる火の粉は払わなければなりません。

 まず、経緯をたどってみましょう。

「女子大に男子を入れたら女子大の意義が損なわれる」

 第1段階は2018年7月でした。お茶の水女子大学が(2020年度から)トランスジェンダー女子の受験を認めるというニュースが流れました。新聞各紙が大きく取り上げ、その論調はほぼすべて好意的なものでした。ところが、Twitter上ではフェミニストを自称する女性たちの反対意見が展開されました。

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「女子大に男子を入れたら女子大の意義が損なわれる」「トイレ、更衣室はどうするんだ?!」

 お茶大は男子を受け入れるとは言っていません。あくまでも受け入れるのは「トランス女子」です。「女子」として受け入れる以上、トイレや更衣室をことさら分けるのは論理的におかしな話です。

「トランスジェンダーを装った男性が入学したらどうするんだ?!」という批判もありました。お茶大を甘く見ないでください。そういう事態を防ぐための備え(トランスジェンダーに詳しい臨床心理学の専門家を専任教員に採用)はなされています。それに、性別の移行はそんな簡単なことではありません。

 いちばん驚いたのは「ペニスを持ったトランスジェンダーが入学することで、在学生の女子が性暴力の被害にあう」という、トランス女性を性暴力の加害者とみる意見です。