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フェミニズムはあらゆる差別に反対していたのではないか

 フェミニズム運動では過去にトランス女性排除や、非白人女性の軽視などが問題視されてきましたが、フェミニズム運動はそれらを乗り越え、あらゆる差別に反対する方向に前進してきました。ところが、2019年にもなってフェミニズムを名乗る人の中から、特定のカテゴリー(トランス女性)は排除・差別してもいいという主張があからさまに出てきたわけです。第3段階に至って、この問題が日本のフェミニズムにとっても大きな危機であることがはっきりしてきました。

 これまでにもTwitter上で単発的なトランスジェンダー排除の言説はありましたが、これほど大量に、しかも長期にわたって、トランス女性への排除的・差別的なツィートが続けられることはありませんでした。私は「これは今までとは違う」と感じました。

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トランスジェンダー排斥の世界的動向の背景

 実は、最近のトランスジェンダー排斥の流れは、日本だけではありません。むしろ欧米が先行しています。トランプ政権下のアメリカで軍からトランスジェンダーが排除されました。イギリスでは昨年からTERF(trans-exclusionary radical feminist)と呼ばれるトランスジェンダーを社会的に排除する過激派フェミニストの活動が強まっています。先に述べた松浦氏の主張は、実はイギリスのTERFの言説の受け売りです。

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 そうした世界的な動向の背後には、同性愛や異性装(女装・男装)を悪と見なし、同性愛者やトランスジェンダーを社会的に排除しようとするキリスト教右派(福音派)の団体がいると思われます。彼らは、いろいろな情報を捻じ曲げ、ありもしないことをでっち上げ(デマ)、人々の心にある同性愛嫌悪(homophobia)やトランスジェンダー嫌悪(transphobia)を煽る戦術をとります。まさに、今、日本のTwitterで行われている手口です。

 日本はキリスト教徒の数が少なく(人口の1%、少なくとも3%はいるLGBTより少ない)、福音派の組織的・直接的な影響はほとんどないと思われますが、一部のフェミニストにTERFの影響が及んでいるのは間違いないでしょう。

 4月初め、フランス・パリの街角で、トランス女性がアルジェリア移民の集団に因縁を付けられ、侮辱され、暴力をふるわれる様子を撮影した動画が流れました。