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特集私が令和に語り継ぎたい「平成の名言」

2019/04/27

「月9」の王道を打ち破ったのは変人の天才物理学者

 さまざまなトレンドを生み出し、一時はドラマ界を牽引していたフジテレビ月曜21時の「月9」。「月9」といえば数々の王道恋愛ドラマを送りだした枠ですが、その流れが変わったのは2007年(平成19年)に第1作目がオンエアされた『ガリレオ』から。

 福山雅治演じる変人の天才物理学者・湯川学が「じつに面白い」と決めゼリフをつぶやき、科学と論理的考察とで事件を解決する東野圭吾原作のミステリー。このドラマが平均視聴率21.9%(ビデオリサーチ調べ)を記録したのをきっかけに、「月9」は次第に王道恋愛ドラマから医療モノやミステリー、法律コメディ等にも舵を切るようになります。

©文藝春秋

『ガリレオ』は平成の王道恋愛ドラマが終わりの始まりを迎えるきっかけを作った作品でした。

 と、これまで最高視聴率、朝ドラ、月9の変化と3つの切り口で平成ドラマの名ゼリフについて書いてきましたが、じつは私が一番推したい平成の名ゼリフは別にあるのです。

変幻自在の6文字「ちょ、待てよ」は奇跡すぎる名ゼリフ

 彼が初めてこのせりふを口にしたのは1997年(平成9年)オンエアの『ラブ ジェネレーション』だと言われていますが、その後も平均視聴率34.2%(ビデオリサーチ調べ)を叩きだした『HERO』や同じく月9の『プライド』、最終回で大ドンデン返しをみせた『眠れる森』、コメディ要素も入ったラブストーリー『GOOD LUCK!!』など、多くの……というか、ほぼすべての主演作で彼……木村拓哉はさまざまなバージョンの「ちょ、待てよ」を繰り出しました。

「ラブ ジェネレーション」にて木村拓哉の相手役ヒロインを演じた松たか子 ©文藝春秋

「ちょ、待てよ」の真意活用法=「行くな」「まだ終わってない」「ふざけるな」「電話、切るなよ」「いい加減にしろ」「最悪」「お前しかいない」「一緒にいたい」「愛してる」etcetc……。

 平成のドラマ史上、ひとりの俳優が違う作品、違うシチュエーション、違う役柄で同じせりふを喋り、それがその俳優のある種の“代名詞”ともなった例は他にありません。

 ドラマは時代を映す鏡。バブルがはじけ、誰もが世界とつながるツールを手にして若い世代がテレビを見なくなったと言われる平成で、長きに渡って視聴者の心をとらえ続けた変幻自在の6文字「ちょ、待てよ」。これは脚本家でなく、俳優みずからが生み出した奇跡の名ゼリフです。

 というか、そろそろどこか作ってくれませんか? 残りひとつのりんごに同時に手を伸ばしたふたりが恋に落ちる、なんて超ベタできゅんきゅんする恋愛ドラマを。刑事も弁護士も医師も、少々飽和状態だと思うのですが。

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