文春オンライン

最近は「やり場のない怒り」を感じさせるニュースが流行しているのか

彼らのような存在にならないという保証はあるのか?

2019/06/07
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人の暮らしというのはそういう「まさか」と隣り合わせである

 ゲームにハマった引きこもりが、親に迷惑をかけながら暮らしている像は、確かに「あれは単に『無敵の人』だから」と線引きをして自分とは関係のない世界の話だ、と割り切って話題を消化し次の大きいニュースを待つのは簡単です。

 でも、私も経験ありますがゲームにハマって現実世界での仕事に支障が出ることはごく普通のことだと思うんですよ。ゲーム依存症、ゲーム障害などいろんな問題が提唱され始めてきていますが、趣味というのはそもそもそういうもので、没頭しているから楽しい、飽きるまで繰り返す、充実感を得たくてオンライン空間に常駐する、そして飽きたら「あれはいったい何だったのだろうか」と思いながら引退する……。それは普通の事例でしょう。

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 裏を返せば、私たちが暮らす現代社会というのは、そういうどっぷりはまり込む可能性のある対象がうようよしていて、一歩間違えば容易に廃人になることもあり得るし、ドはまりして社会的にあかんことになることと隣り合わせの人生を送っているとも言えるわけです。

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 また、車を運転していれば幸せな家庭を命ごとぶち壊すことだってあり得るし、逆に今日も一日元気で楽しかったなと思ったら突然の訃報が電話で来ることだってあるかもしれない。そのような悲しい事態に備えて、簡単に「日々を後悔なく生きろ」と言ったところで、起きてもいない事件や事故に備えるというのも心理的にしんどいことです。人の暮らしというのはそういう「まさか」と隣り合わせであることは忘れてはならんと思うんですよね。

それでも一家の安全や他人への迷惑を考えたら……

 そして、事故や事件から何事かの教訓を得ることはとても大事なことだと思うのですが、最近盛んに報じられる高齢者ドライバーの事故にしても、怪しい運転をする高齢者親族がいたら責任をもって「早いところ免許証と車を取り上げる」ことは必要です。

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 でも、実際に私も経験をしましたが、高齢者は自分が衰えて危険な運転をしていることを頑として認めないことが多くあります。いや、お前危ないから車運転すんなって言ってんだよ。でも本人からすればプライドも傷つくし、地方で暮らしていたら車なしには生きられないのは当然ですから、高齢者も死ぬ気で抵抗してくる。

 私も何度手に噛みつかれたことか分かりませんが、それでも一家の安全や他人への迷惑を考えたら、満足に駐車場に車もしまえない年寄りは運転させちゃいけないと強い意志で強要するしかなくなってしまうのです。