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「性の老化」を止めることが寿命を延ばす

 では、50歳から80歳の間に、女よりも早く男に現れる老化とは何だろうか。熊本氏はこう話す。

「この期間に多いのは、まずガンによる死亡ですが、ガン以外で大きな特徴があります。女性よりも早い時期に男性が心筋梗塞と脳梗塞という血管の障害で死亡する例が多いことです」

 前述した危険信号としての初期症状「勃起しなくなること」を放置した結果と言えるのではないか。もちろん他の原因もあるだろうが、永井教授のようにアンチエイジングとして動脈を若返らせておけば、予防はできたかもしれない。限界年齢は、努力によって引き延ばすことも大事だと言えるだろう。

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「なぜEDになったか」を分析することが重要

 永井教授はこう言う。

「下半身の病気は、全身の病気に繋がっているのです」

 実は、東洋医学にも、「下半身は全体を代表する」という考え方がある。前出の櫻井氏はこう言う。

「EDは腎の問題ですが、補腎だけで解決するわけではありません。頭痛がしたり、咳が出たり、不安があれば、性機能は低下します。これは、肝・心・脾・肺・腎という機能が相互に繋がっているからです。EDといっても、胃潰瘍や鬱病が原因かもしれません。なぜEDになったかを分析することが大事なのです」

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 一方、高齢で子供をつくった人には、特徴があるという。それは、全身が元気な点だ。体全般のケアをしておくことが、限界年齢を延ばす方法なのだ。

 紀元前、中国の黄帝は、1200人の側室がいて男10人分の精力があるといわれた。医学書『黄帝内経』には、黄帝が学者・岐伯にこう問う場面がある。

「今どきの人は50を超えると皆衰えてしまうのは、なぜだろう?」

 岐伯はこう答えた。

「昔の人は養生をよく心得、四時陰陽に応じて暮らしていたのです」

 二千数百年経った現代にも、岐伯のように活力なき世を憂え、元気な中高年を増やそうと立ち上がる医師や研究者はいる。次からは、彼らが見いだした対策を見ていこう。

次回は「日本男児肉食化の鍵」に迫る

連載「ヒトは何歳までセックスできるのか?」記事一覧

■漢方医学では「男64歳、女49歳限界説」も
前編:ヒトは何歳までセックスできるのか?
後編:「定期的にバイアグラ」性のアンチエイジングが寿命を延ばす理由

■日本男児肉食化の鍵を検証する
前編:あなたの男性力は「巻き尺」で測れる
後編:「炒めたタマネギ」で性欲を高める

 

■性交を成功させる「ゴールデンタイム」

前編:鹿のペニス、スズメバチの子……あらゆる「精力剤」は信用できるのか?
後編:「元気ですか?」の語源と「体内時計」で読み取る正常なセックスとは

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