同居がとてもうまくいった家族
理想的と思える同居を実現している一家がいる。
神奈川県に住む吉田あづささん(43)は、夫と8歳の息子、そして自分の母親と同居。父親は10数年前に亡くなっている。
吉田さんは航空関連企業で働いており、出産後も仕事は続けたいと考えていた。そこで母親が1人で暮らしていた生家を2世帯住宅に改築。1階には母親が、2階に吉田さん一家が住むことにした。以来、至極円満に暮らしている。
吉田さんは円満の理由として、まず「孫の存在」を挙げる。
「週の半分、帰宅が夜遅くなることもありますが、その間は母が子供を見てくれます。母は子供と仲が良く、たまに本気のケンカをしています。子供もおばあちゃんの料理が好き。
同僚たちはベビーシッターに頼んだり学童保育に預けていますが、ケンカするくらいの自分の母親に委ねる方が安心できますね」
孫の存在が“潤滑油”となり、コミュニケーションや、家族としての一体感を高められているという。
吉田さんが「自分の母親」と同居している点も見逃せない。
「どうしても母の都合がつかない時、夫の両親に子供の面倒をお願いすることもあるんですが、負担をかけることに対して『申し訳ありません』という気持ちになってしまいます。遠慮せず、ワガママを言えるという点で、実母はありがたいです」(同前)
前出の江本氏も「やはり『嫁・姑』の同居よりも実の親子の方がうまくいく傾向はあります」と語る。
当然といえば当然だろうが、さりとてすべての夫婦に娘がいるわけでもないし、娘が義理の親と同居することもふつうにある。その場合、どうすればいい同居になるだろうか。
「どうしよう、大変なことになった」という家族も
ここに“反面教師”的なケースがある。
「大変なこともあるだろうと覚悟していたつもりでしたが、想像以上でした」
千葉県のベッドタウンに住む主婦の竹井美亜さん(仮名・45)は、そう苦笑いする。
彼女は義理の母親と夫、6歳の娘と暮らしている。父親を早くに亡くした夫は、自分の結婚で母親が独りになってしまうことを案じた。そこで「家賃も折半だから助かるし」と、母と住んでいたマンションでの同居を竹井さんに提案。彼女は受け入れた。
だが、すぐに「どうしよう、大変なことになった」と感じたという。義母はアパレルの販売員をしており、仕事柄か声が大きく、押しも強い。
「義母は何をするのも手早く、無駄がキライ。お味噌汁を作りながら酢の物用のワカメを戻して、その間にパパパッと洗濯物を干したり。私が手伝おうとすると『あなたがやるより早いから』とか『このあいだ作ってもらった味噌汁が口に合わなかったから、今日は私がやる』と言われて。
座って待っている訳にもいかないので、味噌汁にワカメを入れたら『それは酢の物用なのに!』って怒られたり……」(同前)
一事が万事その調子。竹井さんは段々とストレスが溜まっていったという。
読書が好きなインドア派の竹井さん。かたや休日は友人とワインを呑みに行くアクティブな義母。性格が真反対の女性が共に暮らすのだから、ストレスがかからない方が不思議だ。