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適齢期はいつ? おカネの問題は? できれば失敗したくない老親との同居

「令和最新版 死後の手続き100の疑問」失敗しない老親との老後

note

嫁姑問題を乗り切って同居生活するには

 家計コンサルタントの八ツ井慶子氏は「日常のルール作り」を提案する。

「住まいが変わり、生活が変化すれば誰でもストレスはかかる。親と子、どちらの側も同じです。だからこそ、火種の小さい時にルールを決めたり、話し合う時間を持つことが重要です」

 たとえば「それぞれが料理を担当する日を決める」「朝は自分が、夜は義母が作る」などと役割分担を明確にする。

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「“ケア”ばかりを念頭におかず、親の役割をつくれば、それが親の居場所にも、やりがいにもなる。食事に限らずゴミ出し、掃除、洗濯、何でもいいと思います。家族なのですから」(同前)

 その際の行司役はやはり夫。竹井さんが1度夫に家を出ることを提案した際、「母親に不満があったのかと思われて角が立つよ」と言われ、それ以上は強く主張できなかったと明かす。だが、竹井さんは実際不満がある。2人の関係に1歩踏み込む勇気が、夫に必要かもしれない。

 竹井さんの日常は、2年前に義母が仕事を辞めたことでさらに窮屈感を増してしまった。

「日中は基本的に2人で家にいます。私の部屋はないので、夕方娘が保育園から帰ってくるまでテーブルに向かい合い、義母が好きなクイズ番組を見たり……」(竹井さん)

 もちろん先に登場した吉田あづささんのように、2世帯住宅を構えられればそれに越したことはない。吉田さんの場合、玄関は一緒だが上下階それぞれにリビングと寝室があり、居住空間は完全に分かれている。食事はみんなで1階に下りて食べ、母親が2階に上がってくることはまずない。母親の生活は1階で完結するようになっている。

 一方、マンション住まいであれば、竹井さんのように自室を確保できない状況も珍しくないだろう。

 竹井さんは、

「1人で本を読む部屋があれば、それが無理ならせめて自分用のテレビがあればと思います。好きなときに好きな番組を選べれば、随分とストレス解消になるでしょうね」

「せめてテレビだけは別に」 ©iStock.com

 という。吉田さんも、2世帯住宅のメリットのひとつとして「テレビでチャンネル争いをすることもありません」と“チャンネル権”を挙げていた。「せめてテレビだけは別に」。これならば実現性は大いにアップしそうだ。