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source : 週刊文春 2012年7月26日号

genre : ライフ, ライフスタイル, 医療, ヘルス, 社会

昭和天皇にも献上されたという「スズメバチの子の甘露煮」

 佐藤さんは子供の頃に叔父さんに蜂捕りを教わった。イカなど匂いの強いものを木の枝にかけて、スズメバチが集まるのを待つのだ。戦後、昭和天皇が全国巡幸で飯田を訪れた際、スズメバチの子の甘露煮が献上され、今でも毎年宮内庁に届けられているという。

 店には梅宮辰夫が来たというし、全国から「スズメバチの焼酎を送ってほしい」と連絡が入るそうだ。73歳の今も朝勃ちするという岡村さんは、「女性の冷え症にも効くし、冬はコタツがいらないんだよ」と言う。

「近所の市立病院の先生たちもここでハチを食べる。血の巡りがよくなって心臓病にもいいと言っていた」

 確かに70代のお二人は若い。佐藤さんは19歳の時に盲腸炎になっただけで医者にかかったことがないという。

「60歳になると、老人クラブに入ることになるけど、一度も行ったことがない。ゲートボールなんか、やんないよ。俺はまだ老人じゃないんだから」

 しかし、目の前に出されたオオスズメバチと、小型のキイロスズメバチの唐揚げを見た瞬間、グロテスクな姿に息を呑んでしまった。言葉をなくしてカウンター越しに店のママを見ると、彼女はこう説明する。

「しっかり揚げないと歯に絡むから、一度揚げたものを冷蔵庫に保管して、食べる前にもう一度揚げるんですよ。そうすると、口の中で粉になるほど歯切れが良くなるんです」

 一方、店に来るまで、「子供の頃からハチは苦手なんですよ」と、小声でぶつぶつと呟き続けていたJ記者が、「あれ!」と声をあげた。「かっぱえびせんみたいで、おいしいですよ」と、唐揚げを頬張っている。甘露煮やご飯にのったハチの子も、J記者は次々と平らげていく。だが、皿の上に乗ったスズメバチの顔を見ると、映画『エイリアン』で人間の体を突き破って出てきた化け物を思い出してしまう。

精力剤が効かない……なぜ?

 後日、J記者に聞くと、スズメバチを食べた翌日は、疲れが完全に消えて、一日中、体が快調だったという。しかし、同じ量を食べた取材班の一人には何の効果もない。何が違ったのか。

 彼が20代の頃、全国を長く仕事で回っていると、疲労からか体調を崩し、ぐったりとなることがあった。そんな時、土地の人たちがその地方の「効く」ものを与えてくれると、すべて効果をみせたという。北海道では漁師がアイヌ葱(ギョウジャニンニク)をご馳走してくれて、夜に体がほてり、布団の中で勃起した。

©iStock.com

 また、九州では島原の鹿牧場産という鹿茸(ろくじょう/鹿の袋角)が強烈な効果をみせた。朝起きると、驚くような固さで朝勃ちをしていたのだ。崩していた体調が一夜にして完治しただけでなく、まるで別人に生まれ変わったように気力が漲っている。

 ところが、30代半ばをすぎて、中国や韓国で同じようなものを口にする機会があったが、まったく効果がない。原因は体質が変化したからだ。漢方医から、「強烈な腎虚(精力の消耗)」と診断された彼は、体が精力剤を吸収できなくなっていたのである。

後編へ続く)

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