ルネサンス期を代表する画家、ボッティチェリの〈パラスとケンタウロス〉。半人半獣の男性の髪を、女神が勇ましく掴み上げる様を描いた名画だ。しかし、本書にフルカラーで印刷されたその図版に添えられた文章は、「おまえ父親になった自覚あるんか」。神話の世界が、夫婦の“あるある”な光景に大胆に読み替えられ、笑いを誘う。企画の大本になったのは、Twitterでの投稿。西洋の名画を、子育てや家事に追われる暮らしのワンシーンに見立てたひとつの投稿が話題を呼び、同様の投稿が相次いで、大きな波に。本書はそれらの投稿から選んだ題材に、専門家の監修による解説を加えて書籍化したヒット作だ。
おまえ父親になった自覚あるんか💢#名画で学ぶ主婦業 pic.twitter.com/BxZWtDZL3u
— ぼ (@riracana) May 4, 2018
「元の投稿だけでも十分おもしろかったのですが、描かれた時代背景やモチーフの大真面目な解説をつけたら、ギャップでさらに面白くなるのでは? と考えたことで、本書の企画が成り立ちました」(担当編集者の川口貴子さん)
予想以上の人気を支えたのは、メインターゲットに想定した主婦層だけに留まらない、圧倒的な共感だ。
「私自身は既婚者ではないのですが、非常にリアリティを感じます。男性に見せても、自分の家庭での出来事はもちろん、子供のころに叱られたことを思い出して思わず笑ってしまうようです」(川口さん)
今年5月には第2弾も刊行された。止まらぬ勢いだ。
「来週月曜日は給食は有りませんのでお弁当を持たせて下さい。」という学校からの手紙を当日朝息子のランドセルから発見。#名画で学ぶ主婦業 pic.twitter.com/BFgYphYOC2
— 吾輩はたぶんポメ (@wagahai2016) May 3, 2018
2018年8月発売。初版1万5000部。現在7刷6万5000部