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どれくらいの歩幅だと「危ない」のか?

 それにしても、なぜ歩幅と認知症に関係があるのでしょうか。それは脳の運動に関連する部分の萎縮や、加齢にともなって起こる症状の出ない微小な脳梗塞などが、認知機能に障害が出る前に、運動に影響を与えているからだと考えられています。つまり、脳の機能の衰えは、認知機能より先に、「足(脚)」に現れるのです。

 では、歩幅がどれくらい狭くなったら「危ない」と言えるのでしょうか。谷口さんによると、その目安は「65㎝」。歩幅は一方の足のかかとから、もう一方の足のかかとまでの距離で測るので、横断歩道の白線(約45㎝)を踏まずに歩いて越えられれば、45㎝+足の大きさ(20㎝+α)となり、65㎝以上の歩幅があると考えていいそうです。

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 逆に、横断歩道の白線を踏んでしまう人は、認知症リスクがあるということです。歩幅の狭くなった人が、認知症を予防するにはどうすればいいでしょうか。谷口さんは「今より5㎝、できる人は10㎝歩幅を広げて歩くよう意識してほしい」と言います。

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「狭くなった」と感じてから予防しても遅くはない

「歩幅をちょっと広げるだけで、認知症予防になるのか」と思う人も、いるかもしれません。ですが、歩幅を広げれば姿勢がよくなり、目線が上向きになります。腕もしっかり振れて、つま先も上を向くようになります。

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 これによって、すね、ふくらはぎ、太もも、腰、お腹など全身の筋肉がより活発に動き、全身の血液の流れがよくなります。また、姿勢がよくなることで、肺が広がって酸素をより取り込めるようになります。さらに、意識して歩幅を広くすることで、「足と脳との間で活発に情報のやり取りがされ、脳が活性化する」と谷口さんは言います。

 実際、これまでの研究でも、運動習慣のある人ほど認知症リスクが低く、運動によって認知機能低下が防げる可能性があるという結果も出ています。意識して歩幅を広げて歩くようにすれば、汗ばむ程度の程よい運動になるはず。「歩幅が狭くなった」と感じてからでも、認知症を予防するのに遅くはないのです。