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専門家の皆さんと私が、どこが違うのかあえて言えば

――研究が複雑になりすぎているからこそ、1冊で分かるような全体をつかめる本が必要だということですね。

舛添 そう、おっしゃる通りです。

――専門家は、「素人」が外野から入ってくるのを嫌がるところがありますね。舛添さんも大学で教鞭をとられていたから、よくご存じだと思います。ドイツ現代史の研究者は、舛添さんのブログを見て、この新書がどういった内容になるのか、警戒感を持ちながら待ち構えているようですが、そういった人たちへメッセージはありますか。

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聞き手・辻田真佐憲さん

舛添 新書の巻末には多くの参考文献を記していますし、私は専門家ではないので、引用するところはちゃんと引用してある。専門家の皆さんと私が、どこが違うのかあえて言えば、政治家という商売をやったということです。だから、ヒトラーの演説について詳しく書いたのは、実際に演説をやってみないと絶対分からないからなんですよ。ヒトラーの演説は身ぶり、手ぶりが激しく、ラウドスピーカーを導入したことで会場の隅々まで響き渡りました。

 

無所属だった私の街宣車スピーカー 自公に太刀打ちできず

――本の中では、「すべての力強い世界的革新のでき事は、書かれたものによってではなく、語られた言葉によって招来されるものだ」というヒトラーの言葉を引用されています。

舛添 実際に渋谷のハチ公前で街頭演説をやって、どういう反応が返ってくるか。同時代の政治家で私よりうまいなと思ったのは、小泉純一郎と田中眞紀子だけです。今の安倍さんを見ても、私のほうがうまかったと思いますよ。要するに、総理だから足を止めて見るんじゃなくて、忙しいなか耳だけで聞いていて「あっ、ちょっと聞きたいな」と思われることが言えるかどうかなんです。これは学者の時には絶対に書けなかった話です。かといって、参議院選挙に向けて各党首が演説をやっていましたけれども、彼らに書けといって、これは学者じゃないから書けません。

 

――街頭で演説したご自身の経験について、「マイクやラウドスピーカーの性能が大きな影響を持ちます」と書かれていますね。

舛添 そうなんです。音の品質が良くて巨大な音量を備えた自民党や公明党の街宣車を前にしては、無所属だった当時、私の個人用の街宣車のスピーカーなど太刀打ちできず、悔しい思いを何度もしました。これだけで選挙に負ける。そういうものなんですよ。