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70歳“前東京都知事”の舛添要一が『ヒトラーの正体』を出版「プロパガンダがなくては成功しません」

舛添要一インタビュー #1

2019/08/01
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舛添ブログ「歴史上で有名な左翼ポピュリストはヒトラーである」

――舛添さんはブログで「歴史上で有名な左翼ポピュリストはヒトラーである」と書かれていて、一部ネット上では反発が起きています。これについてはどうお考えですか?

舛添 セバスチャン・ハフナーというジャーナリストが、その言葉を使っています。要するに、ナチスとはドイツ労働者党のことですから、労働政策そのものをやってきたんですね。例えば財形貯蓄。無税で貯金できるという労働者のための政策でした。ヒトラーは本質的に、金持ち趣味が嫌いな人だったと思います。もちろん共産主義と対抗するという意味では右翼なんですが、政治の手法というのは左翼のポピュリズムであって、右翼のポピュリズムではないんです。

 

韓国・文在寅大統領との共通点とは

――ブログでは、韓国の文在寅大統領のことも「左翼ポピュリスト」と同じような書き方をされているのですが、どこが共通しているんでしょうか。

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舛添 100パーセント同じというわけではないですが、大衆へアピールをしている点と、2人ともナショナリストであるという点です。ヒトラーの場合、ナチス党以外のヒンデンブルクやパーペンは「本来の保守は我々なんだ」という意識を持っていたでしょうし、文在寅の場合は韓国財閥から見て「前の左翼政権の秘書だった人物じゃないか」と思われているでしょう。だから、選挙のスタイルもよく似ているんです。「皆さんお疲れさま。今日も一日お仕事大変だったでしょう。どうして給料が安いと思いますか?」と、大衆に訴えかける。

 

――細かい点ですが、ナチス(NSDAP、Nationalsozialistische Deutsche Arbeiterpartei)の邦訳について。本では「ナツィオナールゾツィアリスティッシェ」(Nationalsozialistische)の部分を「国家社会主義」 と訳されていますが、最近では、あれは単なる社会主義ではなくてドイツ民族限定の社会主義なので「国民社会主義」などと訳すべきという議論がされています。

舛添 最初の「National」は国家・国民、つまりドイツ第一主義、ゲルマン民族至上主義。分かりやすく言えば国粋主義、ナショナリストということですよね。私はどちらでもいいと思っているんですけれども、第二次世界大戦を引き起こしたことを考えると、6対4くらいで「国家」のほうを取りたいなと。