昔は植木等さんが歌って踊った、「いちどやったらやめられない」ほどいい職業がサラリーマンだった。だが、最近はそうでもない。会社同士の合併など当たり前、社内の昇格にも試験があり、上司にゴマをするだけではなかなか思うような出世もなく、プレッシャーばかりでさびしい人生を送るサラリーマンがなんと多いことか。

 そんな熾烈な出世競争に明け暮れる会社の中で、お気づきにならないだろうか。ひとり、ひたすらマイペースに日々を過ごしているおじさんを。

「そこそこ」の会社生活を送るマイペースおじさん

 会社には定時にちゃんと出社する。そのかわりあまり残業もせずに5時をすぎると、

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「みなさん、おつかれさまでした」

 と挨拶をして、さっさと帰ってしまう。滅多なことでは飲みにもでかけない。

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 当然のことだが、会社内ではあまり出世はしない。でも何か失敗をしでかしているわけでもないので、降格などのお咎めを受けることもない。ましてやクビにもならない。こうして「そこそこ」の会社生活を過ごしているおじさんが、実は多くの会社に棲息している。

給料でワンルームマンションをコツコツ購入

 このような平凡なサラリーマンに見える人の中に、「サラリーマン大家さん」がいる。この種族の人たちは、世間が思うところの「不動産屋」のイメージからは程遠い。

 まず、人とはあまり深く交わらない。人と接するとお金がかかるからだ。もちろん飲みになど行くとさらにお金がかかるので、会社の行事だけにして、いただける給料でコツコツ不動産を買っているのだ。

 買うのはたいてい賃貸マンション。普通のサラリーマンの給与の範囲ならワンルームマンションが一般的だ。

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 もちろん、最初からワンルームを全額賄うだけの貯金はないので、頭金程度にしてあとはローンを組む。ローンの金利部分は一定限度を所得から控除できるので、毎年ちゃんと確定申告をして、所得税の還付を受けている。

 サラリーマンは年末調整を受けて、所得の申告をしないで済ませるのが普通だ。しかし、「しないで済む」というのは関心がなくなるのと同義で、普通のサラリーマンはただ唯々諾々と税金を納めている。これに対して、サラリーマン大家さんは確定申告をし、部屋の維持にかかった費用であるローン金利などを所得から差し引いて、手取りの収入を増やしている。