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(2)会社で金を使わない

 彼は出世を目指していないので、会社のためにお金を使う必要がない。同僚や上司との飲食は周りが奢ってくれる場合を除いてなるべく行かない。どうしても行かなければならないときはせめて割り勘だ。へたな見栄を張る必要はない。相手だって、

「このおっさん、出世しないよね」

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 とわかっているので、奢られなくてもたいして気にしない。二次会なんてもってのほかだ。

飲み会では熱燗2本まで、ビールは絶対頼まない

 Nさんは、たまに一緒にご飯を食べる機会があっても、当然奢ってくれたりはしない。酒を飲むときはきっちり熱燗2本と決めている。しかも一番安い銘柄しか頼まない。私がビールを注文すると、

「もったいない、ビールなんてアルコール度数が低くて不経済やねん。なんでそないなもの飲むのん」

 と叱られる。おつまみはいつも冷奴にちくわ2本。それ以上頼もうとすると、ちょっと不機嫌になり、

「そんなにいっぱい頼むから太るんだよ。あんたが頼んだ分は自分で払ってね」

 と必ず言い添える。ちなみにNさんは本当にスリムだ。

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趣味に金をかけるのも、もちろんNG

(3)のめりこむような趣味を持たない

 会社人生に興味を持たないことを誓っても、ほかに金のかかる趣味をもっては何にもならない。ゴルフなんていう、“何の生産性もない趣味”はやめたほうがよい。高価な道具、行き帰りの交通費、以前より安くなったとはいえ、ばか高いプレー代。しかもスコアが悪かったりすると気分まで悪くなる。精神衛生上もよくない。

 なるべくお金をかけずに気分転換ができるという意味では、ジョギングなどは良い、とNさんは言う。身ひとつとシューズとウェアがあれば、ほかにお金はかからない。同時に痩せて健康になる。

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 ただ、この趣味も「のめりこんで」しまうとやっかいだ。ジョギングに飽き足らず、ホノルルマラソンを筆頭にあちらこちらのマラソン大会に遠征する、ランニングクラブに入って仲間と付き合い酒を飲む、こうなるとやはりお金がかかってしまう。

 Nさんのもうひとつの趣味は読書だ。でも彼は決して単行本を買ったりはしない。はやりの経済本などは会社人間ではないので必要がない。名作文学を図書館で借りるのだ。人から借りることもある。

 ちなみに彼は人の話を聞くのがとても上手だ。話を聞くのもタダだからだ。