宮迫博之と田村亮の会見は胸が痛かった。「叱られるのがイヤだから咄嗟につくウソ」がここまでの騒ぎに。私も3点(百点満点です)の数学のテストを親に見せられなくて「採点が遅れてる」などと「いずれ必ずバレるウソ」をつき、さらに「先生が入院」とかウソを重ねたあげく、すべてバレて目の玉飛び出すほど怒られた。たまにうまいことウソが通っても、気が小さいもんで後ろめたさで夜も眠れなくなったり妙に楽観的になって騒いだり、心が安まる時がない。「つい咄嗟にウソついてしまう」人にとって、この会見は他人事ではなかったはずだ。ウソつきそうになったらこの二人の顔を思い出したい。
で、憔悴&泣きの会見後早々に来たのが松本人志のツイッター「松本 動きます」だ。今までさんざ「生じゃない情報番組」ってことでいろいろ言われていた『ワイドナショー』が急遽生放送だって。
これが火消しなのかガス抜きなのか吉本とフジテレビの癒着から来るのかフジテレビがこの際吉本切りしようとしてるのか。「松本 動きます」からの急遽生放送、という流れは「ガス抜きの茶番かよ!」と思うところだ。で、見てみた。
きちんとした茶番だった。
今どきは茶番でもテキトーにお茶を濁すような茶番だから客は怒るわけで、きちんと相手を見て、飲みたいと思う茶をたてて出せば客も気が済む。
最初に二人の会見がネットで流れた時に騒然となった「テレビ局が吉本の株を持ってるから大丈夫云々」ネタも、VTR部分ではカットしたけどトーク部分で東野幸治があえて触れるとか。触れたことがまた見事に簡単なガス抜きなのであるが、その簡単なことすらやらねえんだよ、今どきのワイドショーは。
あと、松本人志が具体的な話をしたのはよかった。宮迫と電話してその時にどういう話をしたとか、自分が関わるとかえって面倒なことになると思って引いたとか、会社と話したら静観すると答えられたとか、宮迫はすぐ写真一緒に撮ったりするから正直今後もそういう反社系との写真が出てくるかもしれないとか、そういう松本人志の細かい具体的な話が淡々と出た。
そうじゃなくて「このままでは吉本がダメに」とか「笑いが好きな子らが笑えなくなる」とか「芸人ファースト」とか、でかい話や誰にも反対されない標語、「オレの心情」「みんなの心情」みたいな話になってくると、にわかに話の核心は雲散霧消だ。
さいきんの「よくある茶番」はそんなんばっかだったが、この「緊急生ワイドナショー」、思いのほかその成分は少なかった。わりとちゃんとしてたんではなかろうか。しかし翌日の吉本興業岡本社長の記者会見ですべてぶち壊しとなりました。
INFORMATION
『ワイドナショー』
フジテレビ系 日 10:00~
https://www.fujitv.co.jp/widna-show/