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3mの波を操るには3~5年の経験が必要

「特にこの船は別物だと思います。普通の船に長く乗っている人でも、高さのコントロールはすぐにはできない。タイミングとか船の傾け方とか、そういうコツを掴まないといけないので、そこはまさに経験ですね。 3mの高さの波に対応しようと思ったら3~5年は必要かな。ただ、自転車と同じで一度掴んだらあとはスイスイと。慣れてくれば体が反応してくれるようになりますよ」

 熟練の“職人技”によって、多少の波ならばほとんど揺れを感じない快適な船旅ができる、というわけだ。

 

 ビートルが航行する対馬海峡は、一部3~4ノットという早い潮の流れもあり、さらに途中に対馬があるため潮や風の流れが変わることも多い複雑な海域だ。また博多港は大型客船や貨物船のほか、小型の漁船やプレジャーボートも盛んに行き交う。そうした中で、安全の確保は船長の重要な仕事のひとつだ。

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「大きな船の場合はどこに行くかもだいたいルートが決まっていて、無線通信もできるからそれほど難しくない。ただ、水上バイクには細心の注意を払います。水上バイクって、時速100kmで走るものもあるのでウチの船よりも速いんですよ。それに小さいから死角に入ってしまうと危険です。だから出入港時は見張りを増やし、あとはレーダーで監視しています。プレジャーボートはマリーナから出てくることが多いので、マリーナ方面にも注意を向けますね」

 

 釜山港や対馬の比田勝港にも注意すべき点がある。

「釜山の場合、漁船は我々とは違う港に入っていくので良いのですが、貨物船が多いのと、出入港の際にポートコントロールと細かい調整を行うことが多いので注意が必要です。比田勝港はもともと地元の漁船が使う小さな港ですが、最近は韓国からの高速船なども入ってくるし、日本全国の漁船が中継地点としても使っている。小さい港ですけどのどかってことはなくて、気を使うところが多いですね」