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source : 週刊文春 2012年8月30日号

genre : ニュース, 社会, 国際, 政治

辞任後逮捕の確率は50%

 韓国の大統領と言えば、退陣後に不正が暴かれることが「恒例行事」だ。前大統領の盧武鉉が退任後、自殺したのは記憶に新しい。

「李明博が退陣後に逮捕される確率は50%くらい。韓国では前政権を否定することで現政権にクリーンなイメージを植え付けようとするんです」(同前)

 別の在韓ジャーナリストも同調する。

「BBK事件が蒸し返される可能性も高い。事件の当事者として逮捕され、収監された人物もじき釈放されますし、退任後に再燃するのは間違いありません。

 また、大統領の一番上の兄は、現代自動車の下請けのシート工場を経営していますが、実質的なオーナーが李明博であると噂されている。しかも息子がこの会社におり、09年に入社して課長になり、1年ごとに次長、部長と昇進している。ここも火種の1つです」

李明博大統領(右)と歩く兄の李相得議員©共同通信社

 彼の輝かしい時代である現代建設時代にも不正の噂がある。

「韓国では、ゼネコンの談合は当たり前です。しかも彼はスーパーゼネコンの現代建設のトップだったわけだから、当然、叩けばいくらでもホコリが出ます」(同前)

 実際、彼が大統領として率先してきた治水事業「四大河川開発事業」でも、事業の元請け会社である現代建設、三星重工業、大宇建設など、11の大手建設会社が入札談合や賄賂疑惑で捜査中だ。

 これ以外にも政策ミスが続発し、肝心の経済面でも、実績を残せていない。

「彼は当初『ビジネス・フレンドリー』と称して企業寄りの政策を推進していましたが、韓国に必要なのは『マーケット・フレンドリー』の政策です。土木事業をずっとやってきた人物だからか、発想が公共事業中心で、市場経済の概念を正しく理解していない。そもそも戦時下の大統領の器ではないんです」(桜美林大学客員教授・洪焚氏)

「李明博は政治センスが欠けている」

 現在、韓国では新卒の就職率が非正規雇用も含めて60%程度と、深刻な就職難が続く。当初、彼の支持層でもあった若者も、不満を爆発させているという。

「今年の春に大学生に取材をすると、『終わってる』と物凄い批判でした。そもそも就任時から『票を入れる人がいない。消去法で選んだ大統領なんだ』と皆が言っていた。もともと人気がないんです」(冒頭の在韓ジャーナリスト)

 何の実績も残せず、退任後の逮捕も見えてきた彼が、最後の生き残りの手段として切ったカード……それが竹島であり、天皇への謝罪要求だったわけだ。

「それでも支持率は上がらないでしょう。彼にはそもそも国の将来を見通す力はない。『愛国大統領』として後世に名を残したかっただけだと思います」(同前)

前出の高氏が嘆く。

「彼はブルドーザー式の強烈な推進力を武器にして会社を経営してきた。韓国企業はトップダウン経営が多く、トップが指示したらみんな従いますからね。だが、会社経営と国家経営は全く別物。周囲の提言を全部無視して独断で決めてしまうと、反対デモや周辺諸国との外交葛藤が生じ、国家を危うくしかねない。それを理解せず会社経営と同じ感覚で国家経営をしたので、国民の猛反発を受けた。経済感覚があったとしても、政治的なセンスが欠けているのです」

 彼のあだ名は、その外見を表した「鼠(チゥィ)」。今まさに窮鼠となった彼が日本に噛みついているのである。 

(「週刊文春」2012年8月30日号)

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