「冷がけそばの夏」の到来である。夏場はそば屋の売り上げが落ちる。暑くて、アツアツのつゆのそばはあまり出ない。そこで、大衆そば屋では、冷がけそばを夏の定番にしようとあの手この手の作戦に出るわけである。

 山手線西側(新宿駅~駒込駅)で冷がけそばの旅を続けることにしよう。(「#1 大崎駅~代々木駅編」も公開中

後編は新宿駅からスタート

(1)新宿駅西口「箱根そば」 8月限定の伝説「豆腐一丁そば」

 2019年も8月がやってきた。「箱根そば」では毎年恒例、8月限定で「豆腐一丁そば」(470円)を発売する(「箱根そば本陣」では未発売)。発売初日の8月5日、午前、早速、「箱根そば 新宿西口店」の暖簾をくぐった(8月1日に初訪も5日発売と知り5日に再訪)。

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「箱根そば 新宿西口店」。「箱根そば」では8月限定で「豆腐一丁そば」を発売する。なお「箱根そば本陣」では発売しない

 すでに実食のお客さんもちらほら。「豆腐一丁そばを食べずして夏を越せない」と言われている程、定番かつ伝説のメニューである。

 着丼したその姿をご覧ください。まさに豆腐一丁にショウガ、ネギ、おかか、そしてたぬきがのって登場する。その食べ方はさまざま。

「豆腐一丁そば」(470円)。2019年版も格別の味だ

「箱そば先生」こと、(株)小田急レストランシステムの箱根そば事業部部長の清水一洋さんは「氷山の一角を崩すようにして、豆腐と薬味をあえて食べ、そばをすする」そうだ。上品な食べ方だ。まあ、それぞれの豆腐一丁そばの食べ方でよいと思うが、箱そばファンにとっては記憶に残る夏の風物詩であることには違いない。

 麺は生麺の茹で上げ、冷たいつゆはしっかりしたタイプで、居酒屋の「たぬき豆腐」を食べているような雰囲気である。今年はあと何回食べることができるだろうか。