宮中の晩餐会や午餐会ではフランス料理が振る舞われる
外国の賓客を迎えた宮中の晩餐会や午餐会は、フランス料理にフランスワインと決まっており、こういう構成になっている。〈スープ〉〈魚料理〉〈肉料理〉〈サラダ〉〈富士山型アイスクリーム〉〈果物〉。
スープは清羹と呼ばれるコンソメ。魚料理はムニエル(魚を小麦粉でまぶし、バターで焼いた一品)が多い。主菜の肉料理は仔羊を焼いたものが多いが、牛肉のこともある。トランプ大統領はビーフステーキが好物とあって牛肉だった。富士山型アイスクリームも定番のデザートである。
ワインは魚料理に合わせ、仏ブルゴーニュ地方の最高級の白が出される。肉料理には仏ボルドー地方の赤、これも最高級と決まっている。そして乾杯用のシャンパンだ。
国の大小に限らず最高級ワインを出すのは日本の皇室だけ
バッキンガム宮殿でも提供されるのはフランス料理にフランスワインと決まっているが、最高級ワインを出すのはほんの限られた国賓に対してだけで、英国との関係性に合わせて二番手、三番手のワインとなることがふつう。国の大小に限らず最高級ワインを出すのは世界広しといえど日本の皇室だけだ。
先の天皇の時の2005年、モロッコの国王が国賓で来日し、宮中晩餐会が持たれた。モロッコ側は事前に「我々はイスラム教国でアルコールは飲まない。日本側出席者がワインを飲まれることはまったく構わないが、我々には注がないでほしい」と日本側に頼んだ。このため当日には、日本側招待者だけが最高級ワインを堪能することになった。