「自由応募で受けてる企業があるんですが、最終面接は合格でした。ところがその後人事から、内定がほしい場合は推薦状を出してほしいと言われました。

 自由応募でも推薦状を出したら、やっぱり内定は辞退できないのでしょうか。まだ他に受けたい第一志望の会社があるんですけど。困ってます」

 私、福島直樹は就職コンサルタントとして長年学生の相談に乗ってきた。その中で、このような「後付け推薦」について質問されることが最近、増えている。

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 後付け推薦とは、自由応募で受けている理系学生に対して、企業が内定を出す前に、次のような対応をするものだ(稀に文系学生に求める場合もある)。

「内定がほしければ教授推薦か学校推薦を当社に出してください」
「最終面接に進みたければ推薦状を出してください」
(推薦状を出す以上は内定を辞退しないでほしい、辞退したら来年から〔学校や研究室に〕ペナルティを科すかもしれない、というメッセージが暗に込められている)

「推薦ルートに変更するように」

 また、後付け推薦の変種として「ルート変更」を要請する企業もある。ある女子理系就活生はこんな体験をした。

「自由応募でA社を受けていましたが、エントリーシートや、1次面接通過のたびに、推薦に変更しませんか?と何度も誘われました。推薦と自由応募では、推薦の学生から優先的に選考されるようです。自由応募の友人は、選考が遅々として進まないと嘆いていました」

2019年卒、2020年卒大学生の就活スケジュールと内定率。2019年卒は昨年10月の段階で内定率が94.0%と売り手市場だった ©共同通信社

 別の男子理系就活生はこう言う。

「B社の1次面接で、推薦ルートに変更するように言われました。推薦状を早めに出せば、入社後の配属先などが優遇されるそうです。でも推薦を出すと内定を辞退できなくなるので、はじめは悩みました。結局、2次面接の前に推薦状を出して、その後内定をもらいました」

 このように最近の理系採用では、ウェブ上のプレエントリーの時点で、自由応募か推薦かのルート選択を求める企業が増えている。その後、内定辞退を防ぐために推薦への「ルート変更」を就活生に要請するのだ。結果、多くの理系学生が困惑している。

「第一志望企業は諦めます」学生の不満

 理系の就活では昔から「学校推薦ルート」と「自由応募ルート」があった。前者は、企業の依頼を受けた大学が学生を取りまとめ、学生を推薦する。その分、内定を得やすいが、内定辞退はできない。後者は、内定は得にくいが、内定辞退できる、という認識で就活生は活動をしている。

 ところが「後付け推薦」「ルート変更」は、自由応募にも関わらず、途中で学校推薦の仕組みを活用する、ご都合主義の採用戦術なのである。もちろん就活生からは不満の声が出る。