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連載この鉄道がすごい

さようなら485系「きらきらうえつ」――観光列車の開拓者が勇退する

観光列車も「出世」します

2019/09/07

genre : ライフ, , 社会

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 2001年に誕生し、日本海の景色を楽しむ観光列車として活躍した「きらきらうえつ」が、2019年9月29日の運行を最後に新潟~酒田間の定期運行を終える。10月から同区間では新型車両の観光列車「海里(KAIRI)」がデビューする。

 

デビュー当時はかなり大胆な塗装だった

「きらきらうえつ」は、もともと国鉄時代に作られた485系という特急電車を改造して作られた。中間車は1978年製で内外装をリフォーム。先頭車は1973年製中間車と1978年製先頭車の足回りに新製車体を載せた。きらきらうえつとしては18年の活躍、しかし改造前から数えれば、4両とも40年以上も走り続けている。かつて1400両以上の大勢力を誇った485系の希少な生き残り。よくここまで頑張ってくれた。

 4両編成の外観は白を基調とし、カラフルなパッチワーク塗装が施された。これは羽越本線沿線の四季の色彩をイメージしているという。2001年当時、定期運行する観光列車は少なく、この塗装はかなり大胆に感じた。車内は基本的に特急車両と同じ2+2列のリクライニングシートだ。ただし、シートピッチを拡大してゆったりと座れる。また、座席部分の床を嵩上げし、乗客の視点を高くした。すこしでも眺望を良くしたいという配慮だ。

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 1号車と4号車の運転室直後に展望ロビーがあり、前面展望を楽しめる。2号車は「きらきらラウンジ」で指定席はなく、売店とテーブル付きボックス席。ここは売店で購入した人だけが40分間利用できる。きらきら情報コーナーという観光案内スペースもある。沿線の自治体が結成した「羽越本線沿線観光振興連絡協議会」が関わっているからだ。

グリーン車並みの座席だけど、特急料金もグリーン料金も不要

 快速列車「きらきらうえつ」は、JR東日本が新潟~酒田間で運行している観光列車だ。主に週末の運行で、下り列車は新潟駅10時11分発、酒田駅12時51分着。上り列車は酒田駅16時10分発、新潟駅18時31分着。「きらきら」は日本海のきらめき、「うえつ」は主に走行する羽越本線を示す。羽越本線は新潟県の新津と秋田を日本海沿岸経由で結ぶ。出羽と越後を結ぶ路線だから羽越本線だ。

「きらきらうえつ」の運行ルート。まれに秋田まで延長運転する日があった(地理院地図を加工)

 改造前の特急電車の座席より快適で楽しい設備もある。しかも「きらきらうえつ」は特急ではなく快速列車扱い。特急料金は不要。グリーン車並みの座席だけど、グリーン料金も不要。乗車券プラス520円の普通車指定席料金で乗れる。おトクすぎる。そのせいか、観光客に交じって普段使いのお客さんも乗っている。