大ヒットした『Minecraft』をはじめ、Nintendo Switchの人気を支える「インディーゲーム」とは一体何なのか。話題を呼んだインディーゲームの作り手のうち、海外の開発者たちは、日本の「レトロゲーム」(80年代のファミコンソフトなど)の影響を強く受けているという。細部からにじみでる日本文化への“偏愛”を、ライターの河上拓氏が取材した。(全2回の2回目/#1へ)

海外では1つのハードの寿命が長い

 海外のインディーゲーム開発者たちは「影響を受けたゲーム」として日本のファミコンやスーパーファミコンのソフト名を挙げることが多い。

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 生産国である日本と海外のその他の国とでは、一昔前のゲーム機の普及には大きなタイムラグがあった。さらに、海外では1つのハードの寿命が長い。南米やヨーロッパでは現在も数世代前のハードを遊び続けているファンが多くいる。

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 数年前からは「レトロゲーム」として80年代のファミコンソフトがブームとなっており、世界中に若い世代のコレクターも生まれている。

 たとえば20代から30代のゲーマーたちが、40代の日本人ゲーマーと同じテンションでファミコンやスーパーファミコンについて愛情を語る場面に出くわすのは、そのような理由からだ。

 彼らが大好きなレトロゲームの手触りを忠実に再現したインディーゲームが、北米や日本のNintendo Switchで久しぶりにゲームに触れた30代から40代のファミコン、スーパーファミコン世代に見事に直撃したこともNintendo Switchでインディーゲームがヒットしている要因のひとつと言えるだろう。

『ダウンタウン熱血物語』から影響を受けたロシア人

 インディーゲームで開発者の個性が色濃く表われるのは『Minecraft』のような奇抜なゲームアイデアだけではない。過去のゲームへの熱烈な愛が、オマージュ色の強い独自のゲームを生み出すパターンも多い。

 たとえば、今年4月にNintendo Switch版がリリースされた『The friends of Ringo Ishikawa』の開発者Vadim Gilyazetdinovはロシア在住の30代半ばの男性だ。

 

 彼は大好きなファミコンソフト『ダウンタウン熱血物語』から着想を得た、つっぱり高校生、石河倫吾を主人公にしたゲームを完成させた。

 日本で1989年に発売された『ダウンタウン熱血物語』は「熱血硬派くにおくん」シリーズの3作目のタイトル。くにおがライバル・りきと共に、他校の生徒たちと戦う、「つっぱり学園モノ」アクションだ。