ユーチューバーとしても知られる将棋のアマチュア棋士、折田翔吾さんがプロ棋士を相手に10勝2敗の好成績を挙げ、プロ編入試験の受験資格を満たした。そして折田さんは受験を表明し、9月17日、正式に編入試験が行われることが決まった。
試験内容は時の若手プロとの五番勝負。対局順に黒田尭之四段、出口若武四段、山本博志四段、本田奎四段、池永天志四段と対局を行い、3勝すれば合格。2020年4月1日付でプロ(四段)としてデビューすることになる。
映画化された60年ぶりの「プロ編入」
プロ棋士になるためには、その養成機関である新進棋士奨励会を突破する必要があるが、過去にはいくつかの例外があった。特例によるプロ入りとして、まず挙げられるのが1944年に付け出し五段としてデビューした花村元司九段である。のちに花村は棋界のトップ10ともいうべき順位戦A級まで登り詰め、また師匠としても森下卓九段や深浦康市九段らの名棋士を輩出した。
花村のプロデビューからおよそ60年後の2005年に、アマチュアからのプロ入りを果たしたのが瀬川晶司・現六段である。瀬川は以前、奨励会を戦っていたが年齢制限により三段で退会。その後アマとして対プロ棋士の公式戦で7割以上の勝率を挙げ、また日本将棋連盟の機関誌である『将棋世界』にて「プロになりたいんです」と意思表明をした。
この2つの出来事がきっかけで、当時の日本将棋連盟会長であった米長邦雄永世棋聖が瀬川のプロ試験実施に動いた。そして2005年11月、試験に合格した瀬川はプロ棋士となる夢をかなえた。一連の経緯は「泣き虫しょったんの奇跡」(原作:瀬川晶司)として映画化もされている。
瀬川のプロ入りの結果、現行のプロ棋士編入試験と奨励会三段リーグ編入試験の制度が正式に導入される。前者はアマチュアもしくは女流棋士がプロ公式戦に参加して、10勝以上かつ、良いところ取りで6割5分以上の勝率を挙げれば受験資格を得られる。また後者はアマチュア6棋戦(アマ竜王戦、アマ名人戦、朝日アマ名人戦、アマ王将戦、赤旗アマ名人戦、支部名人戦)のいずれかに優勝すれば受験資格を得ることができる。