サプライズゲストで広瀬竜王が登場
イベントがそろそろ終盤を迎えるかという雰囲気になったとき、司会から「実は、ある棋士の方が木村先生のお祝いに来てくださいました」と告げられる。観客が舞台横に目を向けると、そこにはカジュアルな装いに身を包んだ広瀬章人竜王の姿があった。思わぬサプライズに場内からは拍手喝采が沸き起こった。
広瀬 こんばんは広瀬です。
木村 まあ、私はあなたから竜王を取ろうと思っていたんですけどね。
広瀬 今日は木村さんが王位を奪取されたので、お祝いをしたいのもありますが、真の目的としては「どうやったら豊島さんに勝てるのか」を聞きにきました。
(会場爆笑)
「推し」という方がいたら全力で応援してあげてください
ふらりと現れた広瀬竜王からは、タイトル戦での時間配分や体力維持の秘訣など、いろんな話題が飛び出し、あっという間に「お開き」の時間。
最後に登壇された3人の棋士の方から挨拶があった。木村王位は、ファンに向けてのメッセージをしみじみと語ってくれた。
「みなさん今日は本当にありがとうございます。けっこうふざけた話が多かったですが、真面目に取り組んでおります。できれば来年も防衛したい。何より今回はファンの方に推されたというのは、よく感じましたし、力になりました。
みなさんには『推し』という方がいるかもしれませんが、そういう人が舞台に立ったときは、全力で応援してあげてください。棋士がシリーズを続けていくと、迷いとか不安が必ず出てくる。そういったものを払拭できるように、お声がけください。私もこれからも一生懸命がんばります。今日はありがとうございました」
続いて、これから防衛戦を迎える広瀬竜王がマイクを持った。
「どうやったら豊島さんに勝てるのかというのが、今日、ここに来たテーマでもあったのですが、やっぱり木村さんの将棋を見ていると、自分らしさを失わないことが大切だと感じました。みなさんの声援が励みになるので、お願いします。竜王戦は、豊島『推し』の方もいるかと思いますが、応援していただければ嬉しいです。木村さんには、来年の防衛を楽しみにしています」
最後に、このイベントの1部、2部を通して盛り上げた遠山六段が、締めの挨拶を行った。
「私がモバイル編集長をやっていたときは、将棋ファンの方に、いかに将棋を楽しんでもらえるかをずっと考えてきました。そして今は記事を書くことで楽しんでもらえたらと思っています。今回も、イベントも楽しかったし、喜んでいただけたと思うので、第2回にもつなげられたらと思います」
この後、写真撮影とプレゼントの抽選を経て「観る将ナイト2019」は終幕した。食事メニューやお土産など、細部にも「遊び」が感じられるイベントだった。早くも第2回が楽しみだ。
写真=野澤亘伸