時効になった事件を趣味で捜査する霧山修一朗(オダギリジョー)が、再び総武警察署に帰ってきた。

 FBIに出向して十二年目の帰国だ。総武署の時効管理課もずいぶん雰囲気が変わったかもしれない。

 そんな杞憂も一瞬に吹き飛んだ。課長の熊本(岩松了)をはじめ、誰もが下らないギャグを乱発し、それを受けてのオーバーな反応に精力を費している。

ADVERTISEMENT

「灯台下(もと)暗しと、大正デモクラシーって似てる?」

 馬鹿でしょ。凶悪事件が解決しないわけだ。と、それは措いといて――署員の容貌も十二年前と同じだ。霧山の相棒だった交通課の三日月しずか(麻生久美子)の顔や声もほとんど変化なし。三日月君、若い。

 脇を固める、又来(またらい/ふせえり)、サネイエ(江口のりこ)も同様。しかし十二年は長い。特筆すべきは刑事課の新人、彩雲(あやくも)真空(吉岡里帆)の出現だ。

 伝説の男、霧山との対面に興奮し、趣味で時効事件を解決する捜査に、自分も協力したいと強くアピールする。それを聞き、ムカッとして、頬っぺを膨らませる三日月が可愛い。

オダギリジョー ©AFLO

 SNSに目を通すと、吉岡をディスる書きこみが多いのに驚く。演技も笑いのセンスも、一人だけ浮きまくってるよ、とかね。

 なにしろ伝説のドラマですから。多くのファンが、十二年前と同じ時効管理課や、霧山と三日月の微笑ましい相棒っぷりを心地よく楽しみたくて仕方ない。

 なのに新人の吉岡が妙にアップになる率が高く、ときにオダジョーに同行捜査したりもする。麻生演じる三日月は、霧山渡米中に結婚したがバツイチ。いまも霧山君のこと好きなのに、麻生さん可哀相。この調子で吉岡里帆しゃしゃり出るなら、もう見ません。こんな反応が多いんです。

 でもね、十二年の間に大きな事故、事件が起き、社会の空気も変わった。なにより殺人など凶悪事件の時効制度が廃止された。元気な新人の一人や二人が増えたところで、時効管理課のコンクな味は消えない。

 第一話に先がけオンエアされたSP番組はテンポ良く、下らないギャグを連発しながら、エッと驚く結末まで、観る者を拉致した。

 武田真治がね、見かけは三十八歳なのに実年齢は七十一歳という人気タレント“美魔王”藤原を熱演した。『凪のお暇』ではスナックのママを見事に演じた武田君、絶好調です。

 第一話では、小雪が新興宗教の教祖を存在感たっぷりに演じた。美魔王の年齢詐称を、霧山は自動ドアの開閉で見破った。小雪の嘘は、蚊が彼女の首筋を吸うのを見て確信する。嘘をつくと緊張で血の気が増え、蚊が血を吸うんだって。

 笑いだけじゃない。反則すれすれのトリック解明も、新本格推理の隆盛と通底してるかもしれない。

INFORMATION

『時効警察はじめました』
テレビ朝日系 金 23:15〜
https://www.tv-asahi.co.jp/jikou2019/