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育児にも「ログインボーナス」を

 こうして結婚された及川さん、上田さんには、今、二人の娘さんがいる。

 上田さんは、あるインタビューで「30代は、将棋をやる」と述べておられたが、二人目の娘さんが生まれた今、時間がなかなかとれずこの目標も難しくなったと話す。

 子供はもちろんかわいいけれど、なかなか大変なことも多いのが子育て。上田さんにとって何より苦手だったのが、朝起きることだったという。しかし、お姉ちゃんが幼稚園に通うようになり、お弁当を作る必要が生じて、どうしても起きなければいけない――そんな状況にある今、ご夫婦で実践しているという「システム」について話してくれた。

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及川 彼女は、朝、本当に起きないんですよ。まあ、子供がいないときは、私も自分のことは自分でするんでそれでもいいんですけど、子供が生まれて、起きざるを得ない状況になっても、なかなか起きない。

上田 お弁当を作るために起きなきゃいけないんですけど、もっとモチベーションがないと無理だって言ったんですよ。今、ケータイのアプリなんかでも、起動するとログインボーナスとかもらえるじゃないですか。それと同じことをしてよって。そしたらログインするからって(笑)。

――それでどうされたんですか。

及川 じゃあもう露骨ですけど、この時間までに起きたら100円あげるよって。

上田 起きたら100円もらえるので、それを専用の貯金箱に入れています。

 

及川 そして小学生が使うような生活予定表を壁に貼って「この日は起きられました。マル」とかつけています。

上田 幼稚園児みたい(笑)。

及川 いや、ほんとに。

上田 でもこの制度のおかげで、モチベーション高くなって起きられているので、私にはとてもよい仕組みだなって思っています。

夫婦で決めた「一人になれる日」

 上田さんは、ご夫婦で決めた「一人になれる日」には、焼肉にも行くという。「一人で焼肉ですか?」「行きますよ! 豪遊です」と素敵な笑顔を見せてくれた。中継などで見た通りの、明るく快活なママさんだ。

 上田さんが対局の日は、当然、幼稚園のお迎えなども、パパである及川さんの担当。当初は、周囲がママばかりの状況に戸惑ったが、あえてこちらから親しくしようとしなくてもいいとわかったところで、なんとなく楽になったそうだ。ちなみに、ママさんたちは、及川さんが棋士だと知っているという。

「でも、藤井さんのおかげで印象はいいですよ」とにこやかに笑う及川さんも、中継で見た通りの優しいパパさんだった。

写真=深野未季/文藝春秋

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