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なぜ慶応SFCへの進学を選んだ?

――2014年に大阪学芸高等学校を卒業し、慶應義塾大学環境情報学部に進学されました。

西山 高校に特技コースがあって、何かしらの一芸を頑張っているひとたちが受験で入るんですよ。高校では公欠が許され、活動であれば休んでも問題なかったと思います。平日だと記録係(奨励会員は、プロ棋士の公式戦の対局の記録を採る)があるので。

――慶應義塾大学環境情報学部にAO入試で合格し、2015年から休学していますね。まず、東京の大学を選んだのはなぜでしょうか。

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西山 関西将棋会館が実家から遠いですし、勉強する部屋は棋士室のみで、そこに通って将棋を指すのが私に向いているかを考えたときに、ちょっと微妙だと思ったんですよね。あとは東京に憧れがあり、慶應SFCが学生のやることに寛容というのは私の高校と似ていて、惹かれました。

 

――キャンパスライフは楽しかったですか。

西山 楽しかったですね。SFCのキャンパスは奥まったところにあって、将棋会館(最寄り駅は千駄ヶ谷駅)だけじゃなく、最寄り駅からも遠いんですよ。でも、その分、キャンパスはのどかで、芝生がきれいなんです。校風のせいか、変わった方が多くて面白く、いまでも話す友達がたくさんできたので、よかったと思います。サークルは誘ってもらったところにいってみたんですけど、すぐに幽霊部員になりました。将棋との両立は難しかったです。

大学の友達とは「ES、どう?」

――初めての一人暮らしは大変だったのでは?

西山 全部ひとりでやるのは大変でしたね。親も色々考えてくれて、生協コープさんのおかずだけ毎日届けてくれるサービスを契約してくれたので、何とかなっていましたけど。

 

――大学で知り合った友達とは、どういう話をしますか。

西山 友達が大学生のときは、みんなが自分のやりたいことをやって、どういう会社に就職したいとか将来の話を聞きました。自分は就活どころか、将棋以外の仕事を考えたことがないので、新鮮でしたね。就活の時期になると、「ES」っていわれても、説明してもらわないと意味が分からないし。そのうち、こっちから「ES、どう?」って聞くようになりましたけど(笑)。

 いまは会社勤めの子が多く、仕事の話でうらやましいこともあれば、将棋をやっていてよかったと思うこともあります。将棋は個人競技ですけど、会社はチームワークじゃないですか。ミスしてあらゆる人に迷惑をかけた、上司が怖いとか、将棋界だと絶対ないような人間関係の悩みを聞くことが多い気がします。将棋界の人だけと交流していたらわからない話は面白く、刺激をもらっていますね。

(全4回/#1#2#3も公開中)

写真=佐藤亘/文藝春秋

にしやま・ともか/1995年6月27日生まれ、大阪府大阪狭山市出身。伊藤博文七段門下。2010年、6級で奨励会入会。2015年、三段。
女流棋戦のタイトル戦登場は5回。2018年、第11期マイナビ女子オープンで初タイトル「女王」を獲得。2019年、第12期マイナビ女子オープンで里見香奈女流四冠の挑戦を退け、防衛を果たした。
得意戦法は振り飛車で、豪快なさばきが持ち味。

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