以前、イット系大手が手がけて世間を震撼させたWELQ問題からこっち、ネットでは我らがGoogle様もニセ医療、ニセ科学、ニセ健康問題を取り扱うサイトは検索エンジンに引っかかりにくくするなどの対策を打ち出したので、少しは下火になったのかなと思っていたんですよね。
えっ、あの芸能事務所のエイベックスですか?
ところが蛇の道は蛇、世の中に健康不安を抱える人の弱みに付け込むニセ医療が再び大量に跋扈し、最近またぞろ「血液クレンジング」なるニセ医療を手掛ける謎のクリニックが登場、騒ぎが広がってきております。
この問題となっている「血液クレンジング」とは、一度静脈から血液を取り出し、それにオゾンや酸素などを血中に混ぜて体内に戻すという「何それ」感の強いステキ術法です。血中に酸素を送り込んでフレッシュにしたいという話なら深呼吸でもすれば? と思いますし、不純物を取り除きたいという話なら腎臓に頑張ってもらうか人工透析するしかないわけでして、そんなものに結構な金額を取るということで、まあほうぼうで「ニセ医療ですね」という指摘を受けることもまた多いわけです。
舞台となっている医療施設の名前は「エイベックスビルクリニック」。エイベックス? 最初、私も「えっ、あの芸能事務所のエイベックスですか」と思ったわけですけれども、蓋を開けてみたら本当に芸能事務所のエイベックスグループの診療所でした。
エイベックスビルクリニック(2019年1月3日時点のアーカイブ)
http://web.archive.org/web/20190103093136/http://avex-clinic.com/
ご丁寧にネット民が調べたまとめ記事までできていて、心が晴れやかな事案に直面してネットを見るものの顔に満面の笑みがこぼれます。
「取材には応じないよう言われているので」
会長の松浦勝人さんも、労働基準法違反で是正勧告がエイベックスに対して出た際、ご自身のブログの中で「会社の中にすぐ利用できる病院を作ったり、定期的にメンタルチェックをしたり、時間に限らない社員の労働環境をそれなりに考えてきたつもりだ」と書いておられました。
松浦さんの、そのお気持ちは素晴らしいと思うんですよね。わかる。ただ、その結果が血液クレンジングや高濃度ビタミンC療法のようなニセ医学気味の面白クリニックの設立だったかと思うと、もう少し思慮深くても良かったんじゃないかと思ったりもします。疲れた社員やタレントのために診療所作っておきながら、やってることは効果がはっきりしない診療法ばかりなのだとすれば、さすがに批判もされることでしょう。