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連載尾崎世界観の「失敬エンタテインメント!」

尾崎世界観「失敬エンタテインメント!」第3回 演出の都合上書けないのに、それでも書いてしまう失敬なあなたへ

2017/03/25
note

 メディアで最近よく目にする、「今キテる!」という言葉が怖い。

 たまたま興味を持った対象が、「今キテる!」だった時の恐怖は計り知れない。

 他人が好きなものではなく、自分が好きなものを。

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 流行を追うのではなく、流行から逃げるをテーマに、一風変わった失敬な人々が、「今キテない!」を紹介する失敬なエンタテインメント!

◆ ◆ ◆

ライブに招待されたので

 今日はとあるバンドさんのライブにご招待頂いて、行ってきました。あっという間の2時間で、一瞬でライブが終わってしまいました。会場の熱気と一体感、お客さんのキラキラした表情、何だかあの頃を思い出して懐かしくなりました。(おいおい、まだそんな歳じゃないっつーのw)

 終演後、楽屋に挨拶に行かせて頂いて、一緒に写真も撮って頂きましたよ。でも、その写真はここには載せません。だって、なんだか感じが悪いじゃないですか? 皆さんに、私のデレデレしただらしない顔を見せるのは気がひけるし、ここはグッと堪えて、私だけの宝物にします。代わりと言ってはなんですが、バックステージパスの写真を載せておきますね。これも、凄く貴重な物ですよ。(なんだか自慢してるみたいかなぁ……)

 

 あっ、そもそも、なんで私が、その、とあるバンドさんのライブに行ったか。完全なプライベートで、ただ遊びに行った訳ではないんです。コホンコホン。スー、ハー。スーハースーハー。えーと……じゃあ、ここで発表しちゃいますね。

 今回、その、とあるバンドさんのライブの、とある演出で、私のポエムが使われているんです。演出の都合上、ここではまだ詳しく書く事が出来ないのですが、とにかく凄かったです。

 これは是非、生で体験して貰いたいです。

 あっ、でも、もうチケットはソールドアウトしてしまっているから難しいか。運良くチケットを手にしたそこのあなた! 是非楽しんでくださいね。

 あっ、話を戻しますね。とにかく、とにかく感動的でした。私の中から出てきた言葉達が、音楽の中で自由に泳ぎ回る瞬間の連続に、胸を締め付けられました。

 音楽の力を借りて、まるで別の生き物のように、言葉が自由に、音のなかで生きていました。

 これを機に、ますます精進して行きたいと思います。私のポエムが、1人でも多くの人に届く日を夢見て、日々修行ですね。どんな修行をするのかは、演出の都合上、ここでは詳しく書けませんけどね。

 あぁ、早く皆さんの目で確かめて貰いたい。一刻も早く、あの景色に浸って欲しい。

 あっ、でも、もうチケットはソールドアウトしてしまっているから難しいか。運良くチケットを手にしたそこのあなた! 是非楽しんでくださいね。(2回目www)

 いつか、発表出来るその時が来たら、また改めて皆さんと答え合わせをしたいです。きっとその、とあるバンドさんは、これから全国各地に感動を届けてまわる事でしょう。その、ほんのささいなお手伝いが出来るという事が、本当に心から嬉しいです。

 とあるバンドさんのボーカルさんと、2人でシーツに包まっているあの時間も、客席から、ステージで照明を浴びて輝く彼を見ているあの時間も、きっと嘘ではないんです。だって私は、彼のあの言葉を信じているから。私だけに囁いてくれたあの言葉を。

 まぁ、それについても、演出の都合上、詳しくは書けないんですけどね。

 とにかく、私は彼を信じています。あの曲とあの曲は、きっと私に作ってくれた曲だと思う。まぁ、その曲についても、やっぱり演出の都合上、詳しくは書けないんですけどね。

埼玉県 25歳 言葉の錬金術師 歩絵まー子

 いやぁ、実に鼻につきますね。演出の都合上書けないのなら、最初から書くな。というのが編集部の率直な意見です。

 なんだか壮大なプロジェクトに参加されてるようですが、全く伝わってきません。

 ライブに招待された、と言って、SNSにバックステージパスの写真を載せるモデル崩れは良く見かけますが、あなたの様な人は初めてです。しかも最後の方、完全にヤッてますね。シーツに包まっちゃってますからね。

 あぁ、鼻につくなぁ。実に失敬ですね。ツーンとします。

「失敬エンタテインメント!」編集部

©神藤 剛
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