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警視総監からM-1立ち上げ人まで 「灘高校1979年卒業生」が明かす“神童たちの青春時代”

『灘校物語』和田秀樹さんインタビュー

2019/12/14
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灘の生徒会長選がドキュメンタリー番組に

―――勝谷さんと生徒会長選挙で争いますよね。

和田 灘の生徒会会長選挙はかなり盛り上がるんです。僕が灘中に入学したときの生徒会長が黒岩祐治さん(現・神奈川県知事)でした。いまの黒岩さんを彷彿させるような紅顔の美少年で演説がとても上手で、かっこいいなあと思いましたね。

 僕も何度か生徒会の役員に立候補しますが、勝ったことがなかった。そこでいつも立ちはだかっていたのが、勝谷でした。彼は高1で生徒会長になるんですけど、その時は1時間くらいの番組にしようとNHKがドキュメンタリー撮りにきてたりして。

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――灘の生徒会長選がドキュメンタリー番組に?

和田 勝谷は当時「俺が呼んだんだ」みたいなこと言ってましたけど(笑)。でも彼は色んな意味で僕とはどこか異質の存在という感じでした。ちなみにそのドキュメンタリーに僕は1秒も映ってなかったです。

月300万ぐらい稼ぐ英語教材のトップセールスになった卒業生も

――あとはイスラム法学者の中田考さんもすごい経歴ですよね?

和田 中田とは灘中の受験塾から一緒でした。彼こそ孤高の天才で、ニーチェとかショーペンハウエルとか読みこんでいて、言うことがぜんぶ哲学的でした。一方で、彼は元々プロレス狂いだったんです。イスラム教に興味を持ったのも最初はイスラム教徒のプロレスラーがきっかけだったと聞いています。それで大学生の時にイスラム教に入って、あれよという間にイスラム青年会議の日本代表になっちゃうんです。当然、日本代表なので各国のイスラム青年会議の代表たちと交流するわけですけど、サウジアラビアの代表って王子なんですよ。イラクも将来の首相候補だったりして、メンバーがもうすごい。

――サウジアラビアの王子に、イラクの首相候補……。

和田 それで各国のイスラム教徒のリーダーと仲良くなる過程で、イスラム国の人とも知り合っただけ。でもイスラム国とも仲が良いし、一国の王子とも仲良い人なんて他にいませんよ。

 他にも、学生時代に「僕はこれを使って東大理Ⅲに入りました」とか言って、1人で月300万ぐらい稼ぐ英語教材のトップセールスになったやつもいたし。そいつは顔が良いせいか女癖が悪くて……色々逸話を持っていましたよ(笑)。とにかく色んな人がいましたね。

――皆さんそれでいて勉強ができるんですから、まさに天才の集団です。

和田 灘って勉強できる天才もいたんですけど、勉強できなくてもその後にすごい活躍している奴も多いんです。例えば、『灘校物語』にも出てくるんですけど、灘校三バカって呼ばれていた人が僕の2年先輩にいたんです。森本茂樹っていうんですけど、大阪の朝日放送に入ってM-1グランプリを立ち上げるんですよ。やっぱり天才的なセンスを持っていた人だったと思います。