それは2019年11月27日の出来事だった。
イギリスの首都ロンドンでの滞在中。放課後入ったパブを出ようとして、自分の手荷物がまるまるなくなっていることに気づいた。
学校の友人からも「ここのところスリ被害が増えている」と聞き、「ロンドン3回目なのに有り金全盗まれた」とツイートをしたところ、なぜか3万RTをこえてしまった。
ロンドン3回目なのに有り金全盗まれたの恥ずかしいのですが同級生から「実は今年イギリス警察が人員削減されて『スリ・置き引きは捜査しません』って発表してから周りでスリに会う人増えてるんだよね」と言われて、そりゃ出血バーゲンセールやんけと思ったし、国の経済悪化は治安と結びつくと痛感した
— ひらりさ (@sarirahira) December 1, 2019
バズりすぎて同じクラスの人から「まとめサイトで見ましたよ」とアカウント発覚を宣言されてしまったくらいだ。
きわめて個人的な出来事ではあるけれど、年末に海外旅行に出る方も多いだろうし、ちょうど2日後にロンドン橋で死傷者の出るテロが起きたために、海外の治安に関心のある人も多いのかもしれない。あらためて詳細を振り返ることにする。
警戒していたつもりだった
そもそも、自分では結構警戒しているつもりだった。
会社の有給の残りを全て注ぎこみ、なんとか手に入れた1カ月の長期休暇。将来のキャリアのために英語を上達させたいという思いがあり、周囲と調整して、何とか予定を確保した。
フィリピンやマルタ共和国のほうが「語学留学の聖地」として認知されているけれど、シャーロック・ホームズや切り裂きジャックなど、イギリスにまつわる種々のコンテンツを摂取して育った女であるがゆえのミーハー精神でロンドンを選ぶことに。
語学学校の入学オリエンテーションで言われた「パスポートを持ち歩く必要は全くありません。盗まれると大変なので、滞在先に置いてでかけましょう」はきちんと守っていたのに、「30ポンド以上持ち歩かないように」のほうがすこんと抜け落ちていたのが、一体なんでだったのか、自分でもよく覚えていない。財布の中に100ポンド(約1万5000円)を入れて行動していた。