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「すべての犯罪を捜査するのは現実的ではない」

 というわけで自分で動いてみたものの、何の成果も得られない。そんなときにクラスメイトから衝撃の事実を告げられた。 

「ロンドンの警察、予算と人員を減らされた関係で、今年『スリや置き引きなどの軽犯罪は捜査しません』って宣言したんだよね」

 イギリスが財政難で格差も広がっている話は聞いていたけれど、そんなこと言うの!? とあまりにもびっくりしてツイートしたら、予想以上に関心を集めた次第だ。

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 なお、警察がこのコメントを出したのは2017年で、正確には「すべての犯罪を捜査するのは現実的ではない(=軽犯罪を捜査しないかも)」というニュアンスだった、と別の方に教えていただいたので、この場で訂正しておく('Not practical' for Met Police to investigate all crime BBC News)。

スリ・置き引き被害の事例

 ちょっと事実と異なるツイートをしてしまったのはお詫びしたいが、この発表以降、少なくとも私の通っている語学学校では今年のスリ・置き引き被害数が過去最高だというのは、本当らしい。ここ数カ月に起きたとして聞いた事例は、次の通り。

・電車で、ポケットのお尻に入れていた財布をすられる(日本人)

・チャイナタウンで、背負っていたリュックからパスポートを抜き取られる(日本人)

・私と同じパブで、「寄付してくれ」と紙を差し出してきた男を断ったら、その紙で視界が遮られている間にiPhoneを盗られる(韓国人)

・COACHのリュックから財布をすられ、サインレスのデビットカードで即座に30万円分のiTunesカードを購入、使用される(ギリシャ人)

・駅で、カバンのファスナーを開けられるが、すぐ気づいて阻止(台湾人)

 観光客・短期滞在者は、明らかにバレバレで、やはり狙われるようだ。荷物が大きかったり、つたない英語でしゃべっていたらなおさらである。

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 そして、キャッシュレス決済が浸透しているロンドンで、現地在住者のように「30ポンド以上持ち歩かない」を徹底していても、狙われるものがある。iPhoneだ。ロンドンに数年以上住んでいる女性も、駅で電車を待っているときに「iPhoneを出せ」とiPhoneのカツアゲに遭いそうになったと言っていた。スクーターに乗って、歩きスマホの人間からiPhoneを奪うスタイルも多いらしい。