12月24日、中国・成都で日韓首脳会談が開催された。しかし、1年3ヶ月ぶりに首脳会談を行った安倍晋三首相と文在寅大統領だったが、この日は目立った成果を発表できないままに終わっている。 

会談前、韓国の文在寅大統領(左)と握手する安倍晋三首相 ©時事通信社

「史上最悪とも言われる日韓関係の緊張のなかで行われた首脳会談でしたが、両国間の懸案を『今後の協議を通じて解決していく』と述べるに止まりました。徴用工問題をめぐっては双方の主張を繰り返すにとどまったようです」(外信部記者) 

 本格的な関係改善に向けた道筋は見えなかった日韓首脳会談。本音では日本との積極的な関係改善には及び腰だとも囁かれる文政権と、どう関係を改善すべきなのか。本稿では日韓関係の最大懸案となっている徴用工問題に論点を絞って検証していきたい。 

ADVERTISEMENT

1つ目のポイントは「市民団体の排除」

 元徴用工問題をめぐっては、文喜相国会議長が12月、日韓両国の企業や個人からの自発的な寄付金を財源に慰謝料を支給することを柱にした、所謂“文喜相”法案を国会に提出している。韓国内でも賛否を呼んでいる“文喜相”法案の行方もかなり不透明だ。韓国大統領府は「文喜相案は解決策にならない」との考えをすでに示している。 

 来年になって再び脚光を浴びることが予想される徴用工問題。それに対応するためには、日本政府が心得ていなければならないポイントが2つ存在する。この2つを抜きにしてはどんな解決案を編みだしたとしても、“ゴールポストを動かす”ことが繰り返されるだろう。 

 まず1つ目のポイントは「市民団体の排除」である。 

 例えば元慰安婦を支援する市民団体である挺対協(現在は『日本軍性奴隷制問題解決の為の正義記憶連帯』と名前を変えた)は韓国内において絶大な発言力を持っている。挺対協は旧日本大使館前で行われている水曜集会を主催していることでも知られ、反日団体と評されることも多い。アジア女性基金、「和解・癒やし財団」など、これまで日韓政府で取組んできた慰安婦問題解決のための取組みについて、挺対協は常に批判を繰り返し、そして取組み自体を潰してきた。 

2019年12月に行われた水曜集会の様子 ©時事通信社

 そもそも挺対協が元慰安婦の味方なのかというと、それも疑わしいのだ。例えば現在、旧日本大使館前で行われている水曜集会。そこでは挺対協と被害者団体の衝突が繰り返されている。 

「慰安婦の人権を守れ!」 

 いま水曜日になると、挺対協と敵対するようにこうシュプレヒコールをあげる集団が目に付くようになっている。参加者に話を聞くと、「挺対協は、沈美子(シン・ミジャ)の存在を歴史から消そうとしている。だから抗議活動をしているのです」と語った。