分かりやすく時間を縮めると、宇宙の誕生が13年8カ月前としたら、地球に生命が誕生したのは3年9カ月前、ホモ・サピエンスが誕生したのはわずか100分前となる。
なぜ我々人間は他の生物と違って、ここまで地球環境に影響を与える“異質”な存在となったのか――。
人間を特別にしている能力は「言語」だと、クリスチャン氏は言う。
人間が獲得した「集合的学習」とは?
「もちろん、多くの生物はお互いにコミュニケーションをとることが可能です。例えばヒヒは鳴き声をあげることで、群れの仲間に捕食者の接近を知らせることが出来ます。しかし単なる鳴き声だけでは、情報の量や密度、正確さは限定される。動物の言語が共有できるのはごく単純な概念だけで、ほぼ全てが目の前の事実に関わるものとなります。
(中略)それに対して人間は、限られた言語を無限に組み合わせることによって、様々な意味を生み出すことが出来ます。複雑なコミュニケーションが可能となり、目の前にないもの、抽象的なもの、架空の存在など、様々なことについて他者に語り始めました。
そうなると、言語を介して人々の間で有益な情報が共有され、それが世代を追うごとに蓄積されていくことになります。このメカニズムを『集合的学習』と呼びます」
この「集合的学習」を人間が加速させていった結果、「農耕革命」、そして地球温暖化の始まりとなる「化石燃料革命」へと結びついていくことになるという。
◆
「集合的学習」を手にした人類が、非常に短い期間で環境に大きな影響を与えるようになった過程を辿り、その結果もたらされた地球温暖化を解決するための「視点」を提示したクリスチャン氏のインタビュー「138億年の歴史と地球温暖化」の全文は、「文藝春秋」2月号、「文藝春秋 電子版」に掲載されている。
※「文藝春秋」編集部は、ツイッターで記事の配信・情報発信を行っています。@gekkan_bunshun のフォローをお願いします。
138億年の歴史と地球温暖化
【文藝春秋 目次】「消費税ゼロ」で日本は甦る<政策論文>山本太郎/<総力特集>2020年の「羅針盤」/わが友中曽根康弘 渡辺恒雄
2020年2月号
2020年1月10日 発売
特別定価980円(税込)