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大崎 そりゃ反感買うよね。こっちは不景気でヒイヒイ言ってるのに、コイツらだけなんでこんなに儲かってるんだよ。ふざけんな、みたいな。さらにいうと、メディア戦略を多用するようになって、有名人を起用したCM(*23)や、一般週刊誌にPR記事(*24)を載せるようになったりで、悪目立ちに拍車がかかった部分もある。業界も世間の空気を読んで軌道修正すればよかったのかもしれないけど、派手な広告でお客が増えればさらに儲かるわけだから。

*23 有名人を起用したCM
倖田來未やアントニオ猪木など芸能人が版権になっている場合は本人が直接CMに出演するのが基本。さらに近年では、ホールのイメージキャラクターとして岩城滉一、南明奈、石川梨華、チェ・ジウ、石田純一などが起用されている
*24 一般週刊誌にPR記事
ユニバーサルエンターテイメントは週刊新潮と週刊文春に「あるぜ君」というPR記事を毎週載せていたし、北電子や山佐もSPA!誌上に記事を載せていた

平成の30年間っていうのは、ビジネス的には一番の黄金期だった

ヤング ちょっと目立ちすぎだからやめましょうよ、っていうリーダーシップを発揮する人もいないまま、とりあえず儲かってる限りは行くところまで行って、行きすぎて警察の横槍が入ってちょっと後退して、でまた喉元過ぎたら同じことをやって、この何十年間、延々それのループだもん。CR化からギャンブル性が上がりすぎて、5回リミッター(*25)でパチンコがダーンって落ちたと思ったら今度はパチスロの4号機(*26)が爆発的に人気が出て……。

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*25 5回リミッター
96年の内規改正によって確変突入時の最大継続回数が5回に変更。CR機はその射倖性により一気に普及していったが、その射倖性が問題視されるようになり規制がかかった。確変が継続していても5連チャンで強制的に終了してしまうこの悪法、パチンコの長い歴史の中で「5回リミッター規制」は確実に黒歴史と言えるだろう
*26 パチスロ4号機
パチスロは3号機時代まで蔓延していた裏モノを規制するため92年末に4号機が登場。初期はニューパルサーの大量リーチ目路線で人気を取り戻していき、96年にユニバーサルから発売されたクランキーコンドルによって技術介入時代へと突入。パチンコが5回リミッターにより人気を落としていく一方で、巧くなれば勝てるパチスロの技術介入機は若者から絶大な支持を受けていく

大崎 そう、だから運がよかったから成長してきたと言えるけど、早いうちに根治というか軌道修正ができなかったっていう意味では、逆に運が悪かったのかもしれない。

ヤング 平成の30年間っていうのは、ビジネス的には一番の黄金期だったんだよね、業界にとって。

大勢の客で賑わうホール(※写真はイメージです) ©iStock.com

大崎 ただし、現状の法規制下では、パチンコは娯楽だと言い張らざるを得ない宿命なわけで、平成の黄金期はむしろ壮大な回り道だったのかもしれない。金儲けに夢中になりすぎて、本来の娯楽という一番大切にしなきゃいけない部分を捨ててしまったわけだからさ。そして、打ち手の意識も時間つぶしにチンタラ遊ぶものから一攫千金を狙うものに変わっちゃって。今さら本来の娯楽に戻りましょうと言ったところで、業界も打ち手も戻れるかよって話。これはやっぱり平成の30年間、パチンコが調子良すぎたツケなんじゃないかと思うわけ。

客自らが原点回帰している現状

ヤング そんななかで低貸し、1パチとか5スロ(*27)の支持率が上がっているのは、ある種の原点回帰だとオレは捉えてて。昔みたいに小銭でのんびりチンタラ暇つぶしとしてやりたいよ、っていうお客の声だよね。一部のホールが試験的に1パチを始めた(*28)ら、アッという間に広まったってことは、それが打ち手の出したひとつの答えだと思う。今や低貸しのほうがシェア、設置台数ともに4円(*29)を凌駕してるからね。客のほうが自主的に原点回帰してるんだよ。

*27 1パチとか5スロ
貸し玉料金の上限はパチンコが1玉4円、パチスロは1枚20円となっているが、下限に決まりはないため安い料金にするのはホール側の自由。1パチは1玉1円、5スロは1枚5円という貸し玉料金のことを表している
*28 一部のホールが試験的に始めた
貸玉料金が4分の1ということは売上も4分の1。当然のように利益も減るのでホール側としては低貸はやりたがらないもの。ただし、空き台ばかりになるよりは席が埋まっていれば……ぐらいの感覚でやってみたら意外と支持されたという流れ
*29 4円
パチンコの貸し玉料金は4円以下と決まっているが、14年に消費税相当分の上乗せが認められた。これにより消費税10%の場合、実質1玉4・38円がパチンコの、1枚21・73円がスロットの貸し玉上限となった