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2020/02/28

安倍ちゃんが無能扱いされて支持率低迷に至る原因は

 そのような状況であるので、コロナウイルスへの対策が後手に回ったと国民が思い、国内での感染拡大について不安に思う気持ちに安倍政権は現時点では応えられず、対策にまあまあ成功しているにもかかわらず安倍ちゃんが無能扱いされて支持率低迷に至る原因は中国対策にあります。

新型ウイルス肺炎に関して会見する加藤厚労相 ©AFLO

 2017年の内閣支持率低迷と今回の下落で決定的に違うことは、いままでどうやら堅牢であった自民党支持者の中から安倍政権に対する不支持率が高くなってきている、という点です。自民党は支持するけれども安倍政権は良くないと思っている人たちの調査票でのフリーアンサーをつぶさに見ていると、やはりコロナウイルス対策と経済政策いずれかに不満を持っています。そして、コロナウイルス対策については、中国に対する弱腰を強く警戒する意見が目立ちます。

 今年4月に控える中国国家主席・習近平さんの国賓での来日を巡り、日本も中国もコロナウイルス問題を「たいしたことのない問題である」として、何事もなく来日を強行する方向で話を進めているようです。しかしながら、いまやコロナウイルス対策をコントロールできるようになったと対外的に発表する中国自体が、日本からの渡航者を制限する事態になっているというのに、我が国はコロナウイルス発祥地・武漢などからの渡航者のみを制限し、中国全体からの渡航者を制限するという政策を打っていません。

国民の安心・安全よりも中国との友好が大事?

 現在はもう国内の二次感染が広がり中国からの渡航者を制限したところで疫学上はコロナウイルスの流行を止めるためのさしたる効果はないのでしょうが、しかし前述のように学術的に正しくても不安が止められない国民からすれば「対策にさしたる価値がないと分かっていても、安心できる措置を政府にはとって欲しい」と願うわけです。世界を見渡せば、イスラエルなど一部の国では日本人の渡航は一部制限され、人権大国がひしめいていたはずのヨーロッパでも日本人を含むアジア人に対する差別感情が露わになるという社会問題が起こっています。中国にいたっては北京で日本人の行動が制限される事態まで起きていて、どこ発祥の病気だったんだっけ? と思ってしまいます。

©iStock.com

 安倍政権の外交として、おそらく総理秘書官の今井尚哉さんや外相の茂木敏充さんを中心に中国との戦略的融和を目指し、日本と中国の間で『第五の政治文書』の締結を目指す動きが顕著になっています。アメリカとの信頼関係を崩してまでこのような対中外交を融和的に行う意図はよく分かりませんが、中国の歓心を買うために危険を承知で中国からの訪日を制限させず、国民をコロナウイルス感染の危険に晒すような、国民の安心・安全よりも中国との友好が大事であるかのごときメッセージを投げているようにも見えるわけです。