2020年1月、「最後のセンター試験」が全国で行われた。2020年に大々的な入試改革が行われ、「大学入試センター試験」は「大学入学共通テスト」に変更になるからだ。この激動のなか行われた今年の東大入試には大きな変化があったという。『東大式スマホ勉強術』著者である西岡壱誠さんに聞いた。
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東大入試最初の科目「国語」で起きた事件
今年、東大入試にとある「事件」が起こりました。
別に入試が中止になったわけでもなければ、試験に不備があったわけでもありません。入試自体はつつがなく終了しました。
しかし、その内容は多くの人を驚かせる、重大なメッセージを持ったものでした。
東大の入試は2日間に分かれ、1日目は「国語」と「数学」を受験することになります。
そして東大入試最初の科目である「国語」の、一番初めの現代文の問題の文章の冒頭には、こう書かれていました。
「学校教育を媒介に階層構造が再生産される事実が、日本では注目されてこなかった」。(小坂井敏晶『神の亡霊』「第6回目 近代の原罪」より)
学歴社会の頂点である東大が、日本の受験システムの問題点を示唆するような文章を出題したのです。
東大は、これまで度々、入試問題で現代社会に対するメッセージを発信してきました。