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「ゆとり教育」で円周率を “3”にした時の入試問題
例えば「ゆとり教育」の議論が活発化し「円周率を3として教育する」ということが決定された2003年には、「円周率が3.05より大きいことを証明せよ」という問題が出題され、ゆとり教育に対する警鐘か、と話題になりました。
そして前述の問題は、入試改革が行われる2020年に合わせて出題された、教育に関する文章です。
東大は一体どのようなメッセージを発するために、今年この問題を出題したのでしょうか。
3000人の東大合格者のうち800人は10の名門校出身
「学校教育を媒介に階層構造が再生産される」――。
毎年、東大合格者を多く輩出する上位10校は、開成・麻布・筑駒・桜蔭高校をはじめとする名門高校で構成されており、そのほとんどが都心に位置する中高一貫校です。そして3000人の合格者のうち800人前後は毎年この10校から合格しているのが現状です。
これらの学校に入ろうとした場合、中学受験をするケースがとても多いわけですが、この中学受験は現在非常に競争率が高く、塾が乱立している状況です。小学4年生から塾に行っておかないと、とても名門中学には入れないし、入塾も拒否される場合が多いといいます。
そしてなにより、これらの進学塾に通うには、多額の費用がかかります。
実際のところ、東大生の多くは裕福な家庭出身です。東京大学が発行した「2010年学生生活実態調査の結果」(2011年12月発行)によると、世帯年収950万円以上の家庭が51.8%だとのこと。厚生労働省発表では世帯平均年収は約500万円なので、東大生は一般家庭の2倍ほどの世帯平均年収を持つ家庭出身者が多いと言えます。