階層を固定化させる一番の原因は「意欲格差」
いざ東大に入ってみると、この「意欲格差」を実感する機会が多いです。名門高校から東大に入学した友人たちに「母校のどういう点が良かった?」と聞くと、決まって「周りの友達が良かった」と言います。「周りに尊敬できる友達がいて、東大を目指す仲間がいた。だから自分は東大に合格できたのだ」と。名門校の強みとは、上質な教育だけではなく意欲的な学生が周囲にいるという環境にあるのです。
そして、その環境の差が生み出す「意欲格差」こそが階層を固定化させる一番の原因なのではないでしょうか。
東大入試のメッセージが意味するもの
生まれながらの環境が「階層」や「格差」をより強固に固定してしまう――。たしかに、それは一つの残酷な現実です。
しかし、前述の東大入試の出題文は、決して才能や貧富の差を埋めなければならない、と主張するものでもありませんでした。むしろそれらが存在しない社会はない、とも書いているのです。
どの程度まで「格差」を是正するのか、あるいは本人の意思や意識次第で「格差」を解消しやすい環境を作るのか、はとても難しい問題です。
今の東大には自分の努力で環境や階層の差をひっくり返して入学した学生も少なからずいます。事実、僕はそうした恵まれていない状況から東大に合格しましたし、偏差値の低い学校や経済的に貧しい家庭から合格した友達もいます。東大が2020年入試改革に対して肯定的に捉えているのか否定的に捉えているのかは、僕にはわかりません。しかし、学校教育を媒介として階層構造が再生産され、固定化することはあってはならないと考えていることは確かなのだろうと思います。
才能や、貧富の差は確かに存在する。しかしそれを打破するための努力というのもまた、可能である。今はそのような階層や環境の差を解消する勉強はスマホ一台さえあれば可能になりつつあります。スマホを駆使した、場所を選ばず、安価で、誰にも開かれた勉強法をまとめたのが『東大式スマホ勉強術』です。
2020年入試改革以降も、逆転合格を促し、経済格差や地域格差を取りはらえるような活動を行なっていこうと思います。