「新たな日常生活を創っていく時期かもしれません……」。ぼんやりとニュースを聞き流していると、こんな言葉が耳に留まった。

 韓国では新型コロナウイルスの新規感染者数が2ケタ台に落ちたと少し安堵感が漂ったのも束の間、今度は集団感染が発生し始めた。16日にはソウル郊外にある教会の信徒ら63人、18日には大邱市の介護施設で75人、ソウル郊外の病院で28人など(19日現在)の集団感染が確認され、まだ緊張は解けない。

 教会では、新型コロナウイルスに効果があるとして信徒ひとりひとりの喉に塩水を噴射していたが、吹き付けるのに使っていたノズルは洗っていなかったとか。多くの教会がオンライン礼拝に移行する中、一部の教会が日曜礼拝をやめるにやめられないのには、信徒からの献金が収入になっていたり、オンラインに移行するノウハウも持っていないといった事情があるという。

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ソウルの地下鉄のホームで定期的に行われるようになった防疫 (著者提供)
カフェでの「新天地出入り禁止」の貼り紙。ソウル市中心部のカフェ(著者提供)

新学期は2月から4月へ、「マスク曜日制」はすっかり定着

 3月初めに始まるはずだった新学期は延びに延びて、ついには韓国史上初といわれる4月スタートとなることが17日、韓国政府から発表された。青瓦台の掲示板には保護者からの新学期を遅らせてほしいという要望がおよそ30万件にも上っていた。

 韓国で最初の感染者が見つかってからほぼ2カ月、韓国の日常も新型コロナウイルスにより刻々と変わっている。

 9日から始まったマスクの「曜日制」で薬局に並ぶ長蛇の列も日常の風景となった。韓国では最初の感染者が発表されるとマスクの買い占めや高額で売買されるケースが続出した。韓国政府も取り締まりに乗り出したが、それでも、マスク不足は解消されず、ついに「曜日制」になったのだ。

薬局に並ぶ長蛇の列(著者提供)

 生まれた年の末尾の数字によりマスクが購入できる日を定められており、販売場所は薬局や郵便局。ひとり2枚限定で、価格は1枚1500ウォン(約150円)だ。