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特集観る将棋、読む将棋

2020/03/31

しぶしぶ通い出したのが正直なところです(笑)

――体力維持のための生活は何年くらい続けられていますか。

桐山 だいぶになりますね。ジムに通い出したのは家内が通っていたからです。30になるくらいまでは棋士がやる遊び、例えば麻雀なども色々やっていましたが、家内に「健康のためジムへ行ったほうが良い」と言われ、しぶしぶ通い出したのが正直なところです(笑)。ただし体を動かすと気持ちがいいので続きました。もう30~40年になるでしょうか。若いころの生活を続けたままだったら、現役続行どころか、命も危うかったでしょうね。

――桐山先生の現役生活はあとわずかとなっていますが、改めて棋士としてどうありたいと考えておられますか。

桐山 残る棋戦に全力を尽くしたいということですね。そして引退しても、プレイヤー以外の部分で頑張っていきたいです。

最後の順位戦となった3月5日の富岡英作八段戦  ©相崎修司

――順位戦の高見(泰地七段)戦、叡王戦の久保(利明九段)戦など、最近でもファンの話題を集めた将棋がありました。

桐山 どちらも自分なりにうまく指せたと思った将棋ですが、ぽきっと折れました。年齢が重なると勝手な読み筋でミスが出てしまいます。丁寧に読まなければいけないのを、この手がいいように思ってしまうんですね。

――若い時と比較すると、体力がないからということは影響しますか?

桐山 ジムに行っているから体力は落ちていないと思いますが、年齢ですかねえ。あとはこれまでの経験が悪い方に出てしまうこともあります。もちろん経験を重ねたことで良いこともありますが、固定観念が生じた結果、悪手につながってしまいます。

©平松市聖/文藝春秋

大先輩の気持ちが分かるようになりました

――長年、現役を続けられたのは将棋を指していて楽しいからでしょうか。

桐山 そうですね。若い人と指すのも楽しみです。この年になって一つ感じるのは、自分が若手の時に大先輩と指しましたが、その時の大先輩の気持ちが分かるようになりました(笑)。若い時代はわからなかったですが、ああこういうものかと。

――若手と戦うときの気持ちとして、他にはありますか。

桐山 当然、負けたくないという気持ちはあります。そして将棋自体が以前と変わっているので、新たな将棋を吸収できたらという思いもあります。それと同時に自分がこれまでやってきた将棋を表現したいと思っています。具体的には最後の順位戦(対富岡英作八段戦)のように、飛車の下から銀が上がっていくという指し方で、桐山将棋とはこういう将棋だと表現したい気持ちで指しています。

©平松市聖/文藝春秋

――最後に、現役生活で一番よかったことと後悔していることを教えてください。

桐山 よかったのは、棋士を志してタイトルを獲れたことです。後悔はいっぱいありますね(笑)。特定できません。例えば一局一局の将棋をみて負けた原因を振り返るのも後悔ですし、ある時代を振り返って「あの時もっと頑張っていれば」という気持ちもあります。タイトルを獲れたのはうれしく、ファンの皆様の応援のおかげと、家族の支えがあってこそですね。そして長く現役を続けられたのは非常にありがたいと感謝しています。

――どうもありがとうございました。

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