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特集観る将棋、読む将棋

2020/04/04

「Twitterのタイムラインもワッショイ一色に」

――わはは(笑)。あとアンケートで票が集まった対局といえば、深浦先生も解説をされていた藤井聡太七段と深浦先生のお弟子さんである佐々木大地五段の王座戦挑戦者決定トーナメントです。

〈解説も師匠、勝てば羽生先生との対局。開始前から面白くなるはずの一戦。
「これ佐々木、やっちゃったんじゃないの?」
「△3五玉とされたらワッショイですよ!」
 Twitterのタイムラインもワッショイ一色になる。将棋の棋力に関係なく、将棋の面白さが伝わった観る将的ベスト対局〉(38歳/女性)

遠山 あれは解説もとても面白かったですし、大熱戦の将棋も面白かったですね。深浦さんが佐々木さんの指し手に「お前、大丈夫か?」と言ったのは今まで見たなかで一番の解説だと思いました。指し手はなにも解説していないのに、盤上で起こったことをすごく伝えている。

――「わっしょい」とともに、語り継がれていますよね。今年度も大きな注目を集めた藤井聡太七段でしたが、記憶に残っている対局などありますか。

深浦 全体的に見れば、石田戦(直裕五段/2018年度竜王戦5組決勝)で見た「7七同飛成」のような鮮烈な一手が印象に残ったというよりも、一局を通して粘り強く指す姿が印象的でした。そういった将棋で8割も勝ち切ったというのは、改めて成長を感じますね。

 

遠山 最近、内容がいいですよねぇ。コンスタントにいい内容の将棋を指しています。

藤井聡太七段は「地力がついてきている」

――これまでとは違いますか?

遠山 ますます強くなっていて、今年度は逆転勝ちが減ってきていますよね。C級1組の順位戦などは、10戦を通して悪くなった局面がほとんどないと思います。

深浦 一言でいえば、地力がついてきていますよね。

――藤井七段の対局は、他にもいくつか投票が集まりました。例えば、竜王戦決勝トーナメントでの久保利明九段戦や王位戦リーグの羽生善治九段戦がファンの記憶に刻まれたようです。

〈(久保―藤井戦は)184手の長手数。双方1分将棋になってからの手に汗握る攻防。二転三転の大激戦で1分将棋の中、久保九段が詰みを見逃し藤井七段が逃げ切り勝利。勝ち負けはあるものの、両者すばらしい指し手で感動の対局でした〉(53歳/女性)

〈(羽生―藤井戦は)両者とも時間攻めなどせずに最後の最後まで盤上の最善手を探し続ける姿が美しいと思いました〉(56歳/女性)

逆転し、逆転された藤井七段の対局

――遠山先生は、印象に残っている藤井七段の対局といえば、何が思い浮かびますか?

遠山 いつも勝っているから負けた将棋が印象に残りますよね(笑)。だから王将リーグの広瀬章人八段戦ですね。まず局面が悪いなか広瀬さんを逆転したのがすごかった。広瀬さんって、終盤がすごく強いですからね。そこを逆転して勝ちが見えたあとにまた逆転されるという、すごく面白い内容でしたよ。

 

――この対局にも、投票はありました。

〈これに勝てば最年少挑戦者に、という大一番に上り詰めた藤井七段。広瀬八段の圧倒的経験値の中で必死に食らいつき、終盤劇的な盛り返しを見せる。(よし! いけるぞ!)そう思った瞬間、まさかの一手の見落としでの投了。でもね……でもね、負けても負けじゃない。彼の将棋は、観る将に夢を見せてくれる。藤井聡太劇場はこれまでも、これからも〉(27歳/女性)

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