夕方からは小料理屋の「二毛作店」
さて、そば屋の「彩彩」は午後3時には閉店となるが、夕方からは娘さんが小料理屋を営業している。つまり二毛作で経営している。ところで、大将の奥さんは高田馬場駅前で「吉田屋そば店」という立ち食いそば屋を経営している。幸寿司の看板といえばおわかりの方も多いだろう。実はこちらも奥さんのお兄さんが「幸寿司」を経営している二毛作店なのである。つまり、夫婦で別々の立ち食い大衆そば屋を経営し、しかも両方とも二毛作という極めて貴重な存在なのである。だから、土曜日、午前中に「吉田屋そば店」に行くと、大将が手伝っていたりすることがある。ワープしたような不思議な感覚になるわけである。
改めて、「カレーそば生卵入り」(650円)を注文してみた。出てきた丼には玉子は見えないが、カレー餡の中に隠れていた。まず、辛めのカレー餡とそばをからめて食べる。アツアツ。そして玉子の黄身を解いて食べるとマイルドになって味が引き立つ。
食べていると常連の近所の社長さんが来て、マスクのことを話して「かきあげそば」を食べていく。時には某放送局のディレクターさんやテレビ制作の人などが、自分のお気に入りを思い思いに食べていく。
「彩彩」のそばを17年間食べ続けて思うこと
自分が通った17年間には色々あった。3.11の東日本大震災後にお店が大変だったこと。私にとってはいいこともあった。自分が常連であったから、大衆そばの本「ちょっとそばでも」への掲載を快諾してくれた。
17年間食べ続けて思うことは、「彩彩」の「カレーそば」は、大将の人生や魂、店の時間の流れを感じることができる味だということだ。コロナが過酷な試練を与えたとしても必ず克服していってもらいたいと切に願う。また訪問しよう。
写真=坂崎仁紀
INFORMATION
彩彩
住所 東京都品川区東大井 5-2-12
営業時間 6:30~15:00
定休日 土日祝