高校野球の世界にもかつての奇習の名残がとどまる
《女人禁制》
玄界灘の孤島である沖ノ島は、女はおろか、男も年に一度の大祭の日にしか、みそぎをして全裸にならねば上陸できませんでした。2017年に世界遺産に登録されてからは、男すら一般人は上陸禁止になりました。この島で見聞きしたことは口外してはならず、草木一本たりとも持ち帰ってはいけない、とされています。
また、高校野球大会においても、マウンドが女人禁制とされています。2016年に大分高校野球部の女子マネージャーがグラウンドに入ってしまい、問題となったこともありました。
ほかにも、京都の祇園祭では、女性が山車を曳いたりその上に乗ったりすることが禁じられています(ただし、これは近年破られつつある)。また、神事に女性を参加させない、神輿を女性に担がせないなどという例も多いのです。
酒蔵も女が入ると神が不機嫌になり、酒がダメになるとされていましたが、近年は解禁されつつあり、女性の杜氏も生まれています。漫画『夏子の酒』のヒットも一役かっているのかもしれません。
淫乱な日本
もともと日本人は、世界的に見ても非常に淫らな民族として名を馳せていました。
16世紀に日本にやって来たポルトガルの宣教師ルイス・フロイスは、次のように書き残しています。
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日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない。それを欠いても、名誉を失わなければ、結婚もできる。
日本では娘たちは両親にことわりもしないで一日でも幾日でも、ひとりで好きな所へ出かける。(岡田章雄訳注『ヨーロッパ文化と日本文化』)
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村では結婚前から夜這いをしかけるのは当たり前でしたから、処女の価値などまったくなかったのは当たり前です。また、第一章でも描いた通り、処女の価値どころか、処女が忌避されてしまう文化も世界的には多い。
さらに、幕末にペリー提督とともに来日した通訳のウィリアムズは、次のように驚倒しました。
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私が見聞した異教徒諸国の中では、この国が一番淫らかと思われた。体験したところから判断すると、慎しみを知らないといっても過言ではない。婦人たちは胸を隠そうとはしないし、歩くたびに太腿まで覗かせる。男は男で、前をほんの半端なぼろ〔ふんどし〕で隠しただけで出歩き、その着装具合を別に気にもとめていない。裸体の姿は男女共に街頭に見られ、世間体などはおかまいなしに、等しく混浴の銭湯へ通っている。淫らな身ぶりとか、春画とか、猥談などは、庶民の下劣な行為や想念の表現としてここでは日常茶飯事であり、胸を悪くさせるほど度を過ごしている。(洞富雄訳『ペリー日本遠征随行記』)
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ここまで罵倒されると、むしろ誉められているとしか思えませんが──幕末や明治初めに日本にやって来た欧米人の多くが、日本人が平気で裸で通りを歩くことに驚嘆しています。江戸時代まで銭湯が混浴だった光景はよく知られています。数十年前まで、女性が表で公然と乳児に胸をふくませる光景はよく見られましたから、日本人が裸体を恥ずかしがるのは、つい最近生まれた「奇習」と言えるでしょう。